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北朝鮮の対外貿易が「ほぼ封鎖のレベル」と言われるほど極めて厳しい状況に置かれていることが、最新の報告で改めて示された。

この報告は、韓国の経済開発研究院(KDI)の対外経済政策研究院(KIEP)が5日発表した「北朝鮮経済レビュー2月号」掲載の「2017年中朝貿易の評価と今後の展望」だ。

まず、北朝鮮が貿易の9割以上を依存する対中貿易を見ると、貿易額全体は49億7800万ドル(約5290億円)で、2016年の58億ドル(約6164億円)と比べて前年比で14.5%減少した。

輸出額は16億5000万ドル(約1700億円)で、前年比37%減少した。品目別に見ると、無煙炭は2016年の11億8000万ドル(約1254億円)から2017年は4億ドル(約425億円)で66.1%減少、衣類は7億2000万ドル(約765億円、2016年)から5億6000万ドル(約595億円、2017年)ドルで22.2%減少、海産物は1億9000万ドル(約202億円、2016年)から1億6000万ドル(約170億円、2017年)で15.8%減少した。一方で鉄鉱石は前年比で39%増加したが、焼け石に水だ。

これら主要輸出品目は、昨年8月に国連安全保障理事会で採択された制裁決議2371号で輸出が禁じられたが、その影響は輸出額の月額に現れている。昨年2月までは増加傾向にあったが、3月に突然52.3%(前年同月比)減少し、10月以降はさらに悪化し、12月は82.6%も減少した。これについて報告書は「2017年の初頭から萎縮を始めた北朝鮮の輸出は、下半期に至ってはほぼ封鎖のレベルまで縮小する趨勢に入ったことを示唆する」と評価した。

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一方で対中輸入額は33億3000万ドル(約3539億円)で前年比で、大きな変化はなかった。対中貿易赤字は16億8000万ドル(約1785億円)で、外貨保有高は4〜50億ドルから2〜30億ドルに減少したと報告書は見ている。

今年の北朝鮮の輸出について報告書は、制裁が昨年下半期のレベルで維持されるか、いっそう強化されるなら、さらに萎縮することは明らかだとしている。また、輸入については輸出ほどの劇的な減少はないだろうとしつつも、輸出減少で外貨保有高が急激に減少すれば、激減も考えられるとしている。ただ同時に、過去の研究を引用して必ずしも輸出と輸入の増減がリンクしているわけではないとしている。

また、観光などの商品輸出以外の方法で外貨稼ぎの方法があることなどを挙げて、制裁が北朝鮮の対外貿易に負担となっているが、2018年に貿易そのものが破局を迎えるリスクは相対的に大きくなく、しばらくは持ちこたえるだろうとしている。

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外貨不足に苦しむ北朝鮮は、ありとあらゆる方法で外貨稼ぎに乗り出している。

例えば、中朝国境を流れる鴨緑江にある水豊(スプン)ダムで生産した電気は、対中輸出に回されている。中朝間の協定で定められた電気代はかなり安いため、自国民が停電で苦しんだ引き換えに得られる外貨はわずかだと言われている。

(参考記事:制裁にあえぐ北朝鮮が「電気の飢餓輸出」を推進

また、国家保衛省(秘密警察)は、商才のある人を選んで中国に送り、外貨を稼がしている。海外に行く人は情報を国内に持ち帰るため、体制の安定にとって決して好ましいとは言えないが、そんな「わがまま」は言っていられないほど追い込まれているようだ。