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国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは22日、世界159カ国の人権状況をまとめた年次報告書を発表した。北朝鮮については、序文で「国際的な人権メカニズムに加わろうとする動きを見せている」と肯定的な評価をしつつも、「状況は実質的に改善されていない」として、広範囲に行われている人権侵害について強く批判した。

報告書の概要は以下の通りだ。

◯恣意的な逮捕と拘禁

北朝鮮では最大で12万人が4カ所の政治犯収容所に収監され、国際基準に満たない環境で強制労働させられ、また拷問を受けるなど、組織的で広範囲かつ重大な人権侵害が続いている。その一部は「人道に対する罪」に該当する。当局は、政権の脅威になると見なした人やその関係者を恣意的に逮捕、拘禁している。

外国人の逮捕と長期勾留も相次いでいる。昨年4月22日と5月6日には、平壌科学技術大学の学者で米国人のトニー・キム氏とキム・ハクソン氏が逮捕された。

2016年にプロパガンダポスターを盗んだ容疑で逮捕されたオットー・ワームビア氏は長期勾留の末、米国に送還されたがその6日後に死亡した。その原因について北朝鮮当局は明確な答えを示していない。

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◯労働者の権利

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北朝鮮当局は海外に労働者を派遣し続けてきたが、国連安全保障理事会の制裁決議で雇用を取りやめる国が相次ぎ、その数は減少傾向にある。

当局は、労働者の通信と移動を厳格に統制し、派遣先の国の労働法の情報が得られないようにアクセスを遮断している。また、労働者は長時間労働や危険な労働環境に苦しめられ、賃金の多くは当局に取られてしまう。国の財政の一部は、彼らの賃金で充当されている。

◯移動の自由

2017年に北朝鮮を出て韓国に定住した脱北者の数は1127人で、2002年以来最低を記録した。これは中朝国境地帯の警備強化によるものである可能性がある。

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人身売買ブローカーの手で脱北させられる女性もいるが、彼女らは中国に入るまで、身体的、性的に虐待され、経済的に搾取されることになると気づかない。また、多くの北朝鮮国民が中国で拘禁され、北朝鮮への強制送還や北朝鮮での強制労働、拷問に苦しめられている。

◯表現の自由

北朝鮮政府は、自国民が外部の世界と情報交換することを厳しく統制している。電気通信、郵便、放送などはすべて国営で、独立した新聞などのメディアや市民・社会団体は存在しない。

中朝国境地帯に住む住民は逮捕のリスクにもかかわらず、密輸された携帯電話で中国のネットワークを通じて海外に連絡しているが、当局は新たなレーダー探知機を設置し、ユーザーを追跡したり、電波を撹乱したりしている。

◯韓国と日本は?

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報告書は韓国や日本のことについても取り上げている。

まず韓国については、◇宗教上の理由から兵役を拒否した国民を当局が逮捕、拘禁している◇兵役に服する男性同性愛者が逮捕され有罪判決を受けた◇外国人労働者が長時間労働、低賃金や未払い、労災などの様々リスクにさらされている――ことを指摘している。

日本については、◇人権侵害の余地があると懸念の声が上がっていたにもかかわらず、テロ等準備罪(共謀罪)が成立した◇沖縄の米軍新基地建設反対運動の中心的な人物、山城博治沖縄平和運動センター議長が逮捕され長期間に渡って拘禁された◇朝鮮学校が高校無償化の対象から除外された◇外国人技能実習生が広範囲な人権侵害にさらされている――ことを指摘している。