一方の東海岸では、人民保安省(警察庁)と国家保衛省(秘密警察)に対して、上記の指示に加えて、漁船の出港について再確認を行い、船員の統制と動向の監視を強化せよとの指示が下された。しかもその指示書は、金正恩党委員長の自筆のものだという。
指示書は、日本海沿岸で相次いでいる北朝鮮船舶の漂流、漂着についても触れている。個人船主と「ある種の関係」を築くことを「反党宗派行為」(労働党に反対し、分派を作ること)であると規定し、人民保安省と国家保衛省が責任を持って根絶やしにせよとの金正恩氏の指示が書かれている。
船主とは、漁船を所有するトンジュ(金主、新興富裕層)のことを指すが、出港許可を得るためにワイロを渡す行為を厳重に取り締まれということだ。北朝鮮で「宗派分子」扱いさることは、死に近づくことを意味する。
金正恩氏は、漁船を使った脱北と共に、不正行為に基づく漁船の無理な出港もやめさせようとしていると思われる。
(参考記事:「行方不明者は年間数百人」北朝鮮の漁民は命がけ…脱北の可能性は?)