北朝鮮で人気のある職業は、職務上の権限を利用して儲けられる仕事だ。

国の機関や国営企業に勤めても、月給はせいぜい5000北朝鮮ウォン(約70円)。平均的な4人家族の1ヶ月の生活費50万北朝鮮ウォン(約7000円)の100分の1にしかならない。合法・非合法を問わず、何らかの「副業」で収入を確保しなければ、たちまち餓死の危機に直面する。

儲かる職業のうち、今改めて脚光を浴びているのは国際列車の乗務員であると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

国際社会の対北朝鮮制裁に積極的に同調している中国は、北朝鮮への制裁対象品目の輸出を取り締まるだけではなく、食料品、生活必需品の輸出にも制限を加えている。中朝国境の都市・新義州(シニジュ)のデイリーNK内部情報筋によると、その影響で中国から商品が入荷しなくなったため、市内の商店の3〜4割が閉店に追い込まれた。

このような店は、中朝間を行き来するトラックや小型の宅配用車両のドライバーに仕入れへの協力を頼むのが一般的だった。しかし、中国当局はトラックドライバーが密輸の片棒を担いでいると見たようで、検査を強化している。宅配用車両に至っては、北朝鮮への出国を禁止してしまった。

そこで脚光を浴びているのが、国際列車の乗務員だ。

列車は、北朝鮮に入国してすぐのところにある新義州(シニジュ)駅で停車し、税関検査のため数時間停車する。この時間を利用して中国から運んできた荷物を北朝鮮の商人に渡すのだという。

1日に何百台も行き来していたトラックと異なり、列車はせいぜい1〜2便だ。わずか10人足らずの乗務員のもとに依頼が殺到するため、手間賃の相場が高騰。乗務員たちは笑いが止まらないようだ。

デイリーNKの2007年8月の記事で、丹東税関の関係者は「(職を得るため)払ったワイロの元を取るために、多くの乗務員が密輸をしている、2年の任期で数万ドル儲けられなければ能力がないと言われる、中には5万ドル儲けた人もいる」と述べている。当時より制裁がはるかに厳しくなった今、さらに儲かるようになったかもしれない。

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ちなみに公式の小荷物宅配サービスがあるにはあるが、荷物を受け取る際に多額の関税を払わされる上に、北朝鮮国内の受取人が国家保衛省(秘密警察)の監視対象になるなど、非常に使い勝手が悪く、使おうとする人はあまりいないという。

しかし、このような状態もいつまで続くかわからない。「中国の税関が、このような脱法貿易の取り締まりに乗り出すのは時間の問題」(情報筋)だからだ。