北朝鮮国民がビザなしで訪問できる国はもともと少ないが、それがさらに減りつつある。

国際的な居住と市民権に関する英国のコンサルティング会社であるヘンリーアンドパートナーズは毎年、世界202の国と地域を対象に、ビザなしで訪問できる国の数を調査し、ランキングにしたパスポート指数を発表している。

2018年の調査によると、北朝鮮国民がビザなしで訪問できる国の数は39カ国で、2016年の41カ国より減っている。マレーシアは昨年、クアラルンプール国際空港で起きた金正男氏殺害事件を受けて、北朝鮮国民のビザなし入国を認める措置を取り消している。また、シンガポールも2016年に取り消した。

(参考記事:マレーシア、北朝鮮人のビザなし入国を取り止め

北朝鮮国民がビザなしで自由に入国できるのは、ミクロネシア、キルギスタン、ハイチなど7カ国、到着時にビザが取得できるのは、カンボジア、イラン、ラオス、モザンビーク、タンザニア、ウガンダなど32カ国だ。

このことについてヘンリーアンドパートナーズは、北朝鮮が統制が厳しい国で、自国にビザなしで入国できる外国人が少なく、つまり相互主義に基づくビザ免除が行われていないことを理由に挙げている。

ランキングで世界最下位となったのはアフガニスタンの24カ国で、次いでイラク(27カ国)、シリア(28カ国)、パキスタン(30カ国)、ソマリア(32カ国)となっている。

世界でビザなしで訪問できる国の数が最も多いのはドイツの177カ国、次いでシンガポール(176カ国)、日本、英国、フランスなど(175カ国)、スペイン、オランダなど(174カ国)、米国、韓国など(173カ国)となっている。

北朝鮮は、国民の移動の自由を最も厳しく制限している国の一つだ。海外に出国するにあたって相手国のビザのみならず、自国の出国ビザの取得も義務付けられている。そればかりか、国内移動にあたっても、旅行証の取得が必要だ。

これは、1932年に旧ソ連が導入したシステムを取り入れたものだ。当時のソ連では、農業の急激な集団化により混乱が生じ、大規模な飢饉が起きていた。特にウクライナではホロモドール」と呼ばれる飢餓で、数百万人とも数千万人とも言われる餓死者が発生した。

英国下院の報告書によると、農民たちは、少ないとはいえ食糧も仕事もある首都キエフに向かおうとしたが、当局は彼らを農場に縛り付けておこうとした。この移動の自由を奪うシステムのせいで、農民たちは為す術もなく餓死していった。当局が農民を人為的に餓死に追いやったも同然であり、歴史の中で「飢餓虐殺」として記憶されている。このように非人道的な目的で導入されたシステムが、北朝鮮では未だに機能しているのである。

(参考記事:「移動禁止令」延長で高まる北朝鮮国民の不満