韓国政府は22日の在外同胞政策委員会で、在日コリアンのうち「朝鮮籍」を持つ人が韓国を自由に訪問できるよう制度を改善する方針を決めた。過去に同様の施策がとられた際には、朝鮮籍から韓国籍への変更が一気に進んだ経緯があり、在日コリアンの人口動態がどうなるか興味深い。
(参考記事:「朝鮮籍」在日コリアンの訪問要件を緩和…韓国政府)聯合ニュースによれば、朝鮮籍の在日コリアンの数は現在、3万人ほどだという。これに対し、韓国籍は昨年末の時点で約45万3000人(法務省入国管理局調べ)いる。ただ韓国籍の方は、最近日本へ来たばかりの留学生やビジネスマンも多数含まれており、戦前に来た人とその子孫――旧来のいわゆる「在日」は30万人ほどだ。
ちなみに1980年代までは、朝鮮籍も10万人単位で存在していた。当時は、在日コリアン全体の数が約70万人だった。韓国籍と朝鮮籍の内訳がどうなっていたか、法務省もデータを出していないのだが、概ね韓国籍6に対し朝鮮籍が4ほどの比率だったはずだ。
問題の背景と歴史
日本社会には、朝鮮籍の在日朝鮮人は現在の北朝鮮にあたる朝鮮半島北部の出身、韓国籍の在日韓国人は南部の出身であると捉える見方が少なからず残っている。朝鮮半島問題を取材する、新聞やテレビの記者であってもそうだ。報道を見ていても、稀にだが在日朝鮮人の国籍を「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)国籍」と説明しているものがある。
しかし歴史的経緯から言うと、こうした認識は正確ではない。