北朝鮮で発売されているウルリムというタブレットPCを分解・分析したドイツのITスペシャリスト、フロリアン・グリューノウ氏は、米ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、タブレットPCには監視ソフトウェアが組み込まれており、イントラネット(国内限定のネットワーク)の閲覧履歴をスクリーンショット付きで記録している、と明かしている。
また、監視ソフトウェアは問題のあるファイルを遠隔操作で削除したり、ファイルのシェアを遮断したりもする。グリューノウ氏は「これは、何もするなという政府からの心理的なメッセージだ」と述べている。
最近脱北したある女性は、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、北朝鮮でスマホを買った際にコンピュータ関連の仕事をする知人から「政府が通信内容をモニタリングしているかもしれない、実際そうしているだろう」という話を聞いたと明かしている。それからは自分のスマホと少し距離を置くようになり、政府批判などの微妙な話をする際には、スマホを別の部屋に置いていたと語った。つまり、盗聴を恐れていたということだ。
(参考記事:「北朝鮮、普及進むスマホで国民の監視強化」韓国の貿易公社が報告書)ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に応じた別の脱北者男性は、北朝鮮政府が認めていない違法コンテンツを見たのばバレると、刑法60条の国家転覆陰謀罪に問われ、死刑にされると語った。実際に、同条は反国家目的で政変、暴動、デモ、襲撃に参加したり陰謀に加担したりした者は最高で死刑と財産没収刑に処すと定めている。