保衛部と内通しているブローカーが、偽装親戚をでっち上げてくれるというのだ。費用は1万元(約17万3000円)と高額だが、何度でも使えるので、すぐに元が取れる。
咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋と付き合いがある幹部の家族も、最近になって続々と中国に行っている。かつての北朝鮮では、中国に親戚がいると出世できなかったが、今では市の幹部にならなれるようになった。
咸興(ハムン)市行政委員会の幹部の間では、妻や親戚を中国へ行かせるのが流行(はやり)になっている。ある幹部の妻は、家政婦を雇い家の仕事を任せた上で、中国へ行き、現地で自分も家政婦の仕事をしているという。北朝鮮で家政婦をしても月300元(約5200円)しかもらえないが、中国に行けばその10倍はもらえる。また、世間体を気にすることもない。
一つ気がかりなのは、国家保衛省が中国に要員を派遣し、出稼ぎ労働者を逮捕していることだろう。