北朝鮮の金正恩総書記は2日、北西部・平安北道雲田郡で操業を開始した「三光畜産農場」を視察し、演説の中で過去の農村振興政策について反省の言葉を述べた。朝鮮中央通信が3日伝えた。

金正恩氏は新施設を「社会主義農村建設の模範」と位置づけ、酪農・畜産の近代化を強調した。その一方で、これまでの農村政策について「半世紀以上も農村問題解決のための闘争を続けてきたが、なぜ農村が疲弊した状態を脱し得なかったのかを再認識する必要がある」と指摘。「率直に言って、過去は農村建設で“言葉の勉強”ばかりしてきた」と述べた。

さらに地方では、象徴的に数カ所の農場村を整備した程度にとどまり、国家投資も「散発的で一時的、誇示的側面」で行われたことが誤りだったと認めた。政策の「執行性、可能性」が伴わず、実際の農業生産力向上や物質技術基盤の強化策を十分に講じられなかったとした。

畜産分野についても、戦後から「草と肉を交換しよう」といったスローガンを掲げ、大規模拠点建設を進めたものの「実際に恩恵を受けたことはない」と述べ、飼料不足や品種改良の遅れを率直に認めた。「もう言葉だけの時間はない」との危機感も示した。

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こうした自己批判的な言及はかつて、北朝鮮指導部には珍しかった。しかし金正恩氏は近年、経済運営や地方建設の遅れについて「旧来の形式主義」や「非科学的なやり方」を問題視する発言を繰り返してきた。2021年の党大会以降も、食糧難や生活改善の停滞を背景に「人民生活を責任を持って向上させねばならない」と強調し、従来の政策の限界を認める場面が増えている。

また金正恩氏は、祖父の故金日成主席時代から続く構造的問題に触れることもある。農業や地方経済の立て直しを掲げながらも、実際には十分な成果が上がらなかったことを暗に示し、「長年の宿題をわれわれの世代で解決する」と訴える形で正統性を演出してきた。今回の演説でも、戦後から続く畜産政策のスローガンが現実の成果につながらなかったと述べ、過去の路線を総括する姿勢を示した。

総書記は三光農場を新たな出発点として全国農村を根本的に改造する方針を示し、「もう言葉だけの時間はない」と強調した。畜産の情報化・集約化を進め、牛乳やチーズなど乳製品を安定供給する目標も掲げた。

もっとも、北朝鮮経済は制裁や慢性的な資源不足に直面しており、こうしたモデル農場の成果を全国に拡大できるかは不透明だ。今回の「反省」は政策転換を印象づける狙いもあるとみられ、今後の実行力が問われる。