スウェーデン国防省は、韓国ハンファエアロスペース製の155 mm自走砲「K9サンダー」の取得について、具体的な検討を進めていることが明らかになった。

北欧域内で急速に支持を広げる同車両は、スウェーデン軍が現在主力としている自国開発のArcher(アーチャー)装輪式自走砲の補完装備として位置づけられている。公開された文書によると、約40両の導入を見込んだ評価が進行中であり、履帯式による冬季・悪路対応性能が重視されているという。

スウェーデン軍関係者は現地メディアに対し「北極圏近くの雪深い地形で機動性と生存性を確保するには、履帯式自走砲が不可欠である」と述べ、K9がフィンランドやノルウェーで既に運用実績がある点を評価している。

実際、ノルウェー政府は既存のK9自走砲の戦力を大幅に増強する意向を示している。防衛予算案には、追加で24両のK9調達計画が盛り込まれ、現在の保有数をほぼ倍増させる方向で国会審議が進行中と報じられた。新編成が予定されるフィンマルク旅団への配備が想定されている。

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同政府高官は「深刻な安全保障環境下、火力戦力の強化は最重要課題だ」と述べ、ロシアを念頭に置いた防衛強化策の一環として位置づけている。

フィンランドも北欧における代表的なK9運用国として評価されている。過去の導入に続き、複数回の追加発注を行い、総数を増強してきた。同国軍関係者は「高い雪原機動力と迅速展開能力が地域防衛に適している」と評価している。

バルト海に面するエストニアも韓国製K9自走砲を導入しており、地域防衛協力の深化が進む。北欧とバルト地域を合わせた共同演習や整備・訓練の連携が強まりつつある。
報道各社の分析では、以下の点がK9の北欧人気を支える要因として挙げられている。

厳しい気候・地形への適応性
履帯式シャーシが深雪や沼地で高評価
地域での採用実績と相互運用性
NATO基準との整合性(155 mm弾の運用)

北欧諸国は、従来型・輪式自走砲だけでは対応しにくい過酷な北極圏付近の地理条件と、高い機動性・即応力を要求する安全保障環境の変化を背景に、韓国製K9自走砲への関心を高めている。特にスウェーデンが導入検討を進めることで、北欧域内での採用が一段と広がる可能性があることが、複数報道で示されている。