韓国防衛事業庁は2日、韓国型次期戦闘機KF-21「ボラメ」に搭載する国産短距離空対空ミサイルの開発事業を正式承認した。事業費は4359億ウォン(約2億9600万ドル、1ドル=1472ウォン基準)で、2032年までに開発を完了し、実戦配備を目指す。海外ミサイルへの依存を減らし、輸出時の選択肢を広げる狙いだ。防衛専門メディア「アーミーレコグニション」が4日、現地時間で伝えた。
短距離空対空ミサイルの開発承認
事業は国防科学研究所(ADD)が主導し、LIGネクスワンとハンファ・エアロスペースが参画。現在KF-21は、短距離戦闘に独製IRIS-T、中距離空中戦には欧州製「ミーティア」の使用を前提に試験が行われており、米国製AIM-120「AMRAAM」、AIM-9X「サイドワインダー」の統合も検討中だ。
新ミサイルは既存兵器の即時置き換えではなく「国産の選択肢を増やす」位置付け。短期的には戦闘実績のある西側ミサイルで戦力を維持しつつ、長期的にはKF-21のセンサー・データリンクに最適化した独自兵器体系の構築を視野に入れる。
(参考記事:比国、韓国製KFー21戦闘機を選択か…導入に向け「高度な交渉段階」)
専門家は、赤外線画像誘導(IIR)による精度向上、高オフボアサイト能力(機体前方にいない敵機への攻撃能力)など、先端機能の搭載を見込む。KF-21のAESA(アクティブ電子走査アレイ)レーダーおよびヘルメット照準装置との完全統合により、パイロットが視線のみで目標指定することも可能になるとされる。
年540億ウォン投入 航空兵器の国産生態系構築へ
KF-21向け短距離ミサイル開発には2025~2032年まで年平均約540億ウォンが投じられる。総事業費8兆8000億ウォンのKF-21開発全体と比べれば小規模だが、関連企業は契約継続による技術蓄積と、将来的な輸出展開を見込む。
防衛事業庁関係者は「短距離空対空誘導弾-IIは、既に開発中の長距離空対地誘導弾、来年着手予定の長距離空対空誘導弾とともに、国産戦闘機の武装多様化を支える」と述べ、「航空兵器体系の国産化および防衛輸出実績拡大に寄与する」と強調した。
専門家は、単なる国産化ではなく「KF-21を完全な輸出パッケージ化する核心戦略」と評価。ドイツ政府の輸出許可に左右されず、ポーランドやフィリピンなど潜在顧客の要求に応じた柔軟な供給が可能となり、交渉面で優位に立てるとの見方が出ている。
