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韓国の尹錫悦大統領が3日午後11時に宣告した非常戒厳令。だが、翌4日午前1時1分に、国会本会議で非常戒厳解除要求決議案が可決されたことで、憲法の規定に基づき、午前4時27分に解除された。

「三日天下」ならぬ「五時間半天下」となった今回の件だが、北朝鮮でもこの話が急速に広まっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、「韓国の大統領が戒厳令を宣告したが、数時間後に解除されたことが大きな話題になっている」と、現地でも情報が広まっていることを伝えた。また、両江道(リャンガンド)の情報筋も、貿易機関の幹部、北朝鮮在住の華僑を通じて、この話が広がっていると伝えた。

中国に行き来している隣人からこの話を聞いたという情報筋は、近隣住民が一連の事態をどのように受け止めているかを、次のように述べた。

「今まで(朝鮮労働)党が宣伝していた通り、韓国社会が戒厳令を宣告するほど複雑だと知った」
「しかし、大統領が宣告した戒厳令が国会の反対で解除されたというニュースは、多くの人々に新鮮な衝撃を与えている」

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北朝鮮の国営メディアは、非常戒厳令が宣告される前から韓国で行われていた尹大統領の弾劾、退陣を求めるデモや集会を大きく取り上げていたが、非常戒厳令そのものやその後の状況については一切報じていない。

だが、中国との貿易に携わっている人や、連絡を取っている人を通じて、中国と国境を接する地域で情報が広まっている模様だ。北朝鮮全域に広がるのも時間の問題だろう。

2016年の朴槿恵元大統領の弾劾を求める「ろうそく集会」、その後の弾劾成立も、北朝鮮の人々に驚きを持って受け止められたが、今回の状況にも同様に驚いているようだ。

(参考記事:「人民が指導者に勝つなんて」朴槿恵氏の弾劾に驚く北朝鮮の人々

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「ここ(北朝鮮)では、想像すらできないこと」
「元帥様(金正恩総書記)が法の上に存在するわが国では、(金正恩氏に)反旗を翻すすべての人はおそらく銃殺刑や無期懲役刑にされるだろう」(情報筋)

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

「戒厳令のニュースを聞き、韓国への人々の憧れがいっそう強まった感じだ」
「韓国社会は、様々に意見が分かれても、大統領の意思を拒否することができて、大統領が一度宣告した戒厳令を(国会が)解除できるということに驚いた」

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特定の集団や個人に権力が集中することを防ぎ、権力が双方を監視し合う「権力分立」は、民主主義国家では当然のことだ。韓国憲法第77条第4項では、「国会が在籍議員の過半数以上の賛成で戒厳の排除を要求した場合には、大統領はこれを解除しなければならない」と定めており、今回はそれに則って解除された。

一方、金正恩氏が法の上の存在として君臨する北朝鮮では、たとえ法律に基づいていない命令であっても、その違法性は問われず、本人以外がその命令を撤回することはできない。

(参考記事:「コチェビから韓国の国会議員に」北朝鮮から驚きの声

上述の両江道の情報筋は、地域住民が、「ここ(北朝鮮)では、戒厳令を宣告しなくとも、毎日が戒厳令」とぼやいているという。

「戒厳令は宣告されていないが、午後8時以降には地域間の移動が遮断され、3人以上が集まってはならない。暮らし向きが悪くとも、党と国家に対して些細な不満であっても口にすれば処罰される殺伐とした状況だ」(情報筋)

それだけではない。午後10時以降にマンションの玄関が閉じられてしまい、自宅に戻るには人民班長(町内会長)に連絡しなければならない。さらに、家族以外の人間が無断で泊まっていないかを調べる「宿泊検閲」が毎日のように行われている。

「ちょっとしたことで公開闘争集会(吊し上げ、人民裁判)を開き、未成年、一般人、幹部問わず公開銃殺にする状況は、戒厳令でなければ一体何なのか」(情報筋)