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朝鮮半島における南北融和の象徴だった鉄道が再び破壊された。

京義線は、現在の韓国のソウルと、中国国境に面する北朝鮮の新義州(シニジュ)を結ぶ鉄道だ。ソウルと釜山をつなぐ京釜線と共に朝鮮半島を縦断し、中国、ロシアを経てヨーロッパへとつながるユーラシア大陸の大動脈の一つであった。

日本が朝鮮の宗主国であった1905年11月に開通したが、1945年の南北分断に伴い一部区間で運転ができなくなった。また、朝鮮戦争で施設が破壊され、韓国側ではソウルとムンサンを結ぶ50キロあまりの区間だけが復旧された。2009年に電化され、現在ではソウル近郊の通勤路線となっている。軍事境界線のすぐ北側の開城(ケソン)から新義州を結ぶ400キロあまりの区間も朝鮮戦争後に復旧された。

長らく分断されていたこの路線だが、2000年の南北首脳会談をきっかけに復旧の動きが進み、2003年に再びレールが繋がった。韓国のムンサンと北朝鮮の鳳東(ポンドン)の20キロを結ぶ定期貨物列車の運行が2007年12月から始まったが、南北関係の悪化で1年弱で運行を取りやめてしまった。

この線路の一部が撤去されていたことがわかった。

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韓国・東亜日報系のチャンネルAは、今年2月と9月に撮影したGoogle Earthの画像を使い、開城工業団地のすぐ東側を流れる四川江(サチョンガン)に架けられていた鉄道橋の床版が撤去され、橋桁だけが残っていると報じた。

また、周囲の道路には地雷を埋設したと思しき痕跡も確認された。

金正恩総書記は今年1月、第14期第10回最高人民会議の施政演説で、「憲法にある『北半部』『自主、平和統一、民族大団結』という表現が今や削除されなければならないと思う」と述べ、韓国を統一すべき相手ではなく、主敵とみなす教育をすべきなどとも述べた。

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これに伴い南北関係を扱う部署や機関の改称、解散、統一や民族という単語の入った地名などの改称と言った措置が行われた。北朝鮮は、その一環として今年8月、開城工業団地内の京義線の線路の撤去を行った。

今回の鉄道橋の床版の撤去は、その後続措置と見られている。

(参考記事:「南北関係史に終止符」「韓国は不変の主敵」金正恩氏、最高人民会議で演説

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また、民間衛星専門家の米国のジェイコブ・ボーグル氏は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに、撤去された区間は283メートルに及ぶと述べた。また、開城工業団地内の板門(パンムン)駅と税関の建物も今後撤去の対象になるだろうとの見方を示した。

さらに、近接する高速道路は依然として存在するが、塹壕が掘られていて、道路としての使用はできない状態になっているとも述べた。

「鉄馬は走りたい」

南北分断に伴い行き来ができなくなった線路の脇に、そう書かれた看板と石像が立っていた。鉄道復旧に伴い、近隣の臨津閣に移設されたが、元の位置に戻さなければならない状況となってしまった。