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韓国ドラマにはしばしば、眉毛が非常に濃い中高年の女性が登場する。いわゆる「眉毛のアートメイク」の施術を受けた人だが、実際はタトゥーであり、法的にはグレーゾーンにある。

大法院(最高裁判所)は1992年5月に、「タトゥーは医療行為」との判決を下し、医師以外の施術は違法行為となった。しかし、実際はエステサロンなどで行われる場合がほとんどで、エステティシャンによる法廷闘争も行われている。今年5月に大邱地裁で行われた陪審員裁判では4対3で違法とされたが、清州地裁は昨年8月、釜山地裁は同年12月に無罪判決を下すなど、司法の判断も分かれている。

韓ドラの影響を受けたのだろうか、北朝鮮の女性の間でも眉毛のタトゥーを受ける者が多いが、朝鮮労働党咸鏡北道(ハムギョンブクト)委員会は、眉毛のタトゥーを「非医療的行為」であり「資本主義的行為」だとして、厳しい取り締まりに乗り出した。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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非医療的行為とされたのは、眉毛のタトゥー以外に、二重整形、シワの除去などがあるが、医師が医療目的で行うのではなく、無許可の個人が自宅などでエステサロンを開いての施術は違法ということだ。美容目的で体にメスをいれるのは資本主義文化に基づくもので、これで金儲けをするのは反社会主義行為であり、体制への挑戦だとしている。革命をほったらかしにして、個人的に美を追求するのはけしからんという理屈なのだろう。

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清津(チョンジン)、金策(キムチェク)などの道内の都市では、7月下旬から本格的な取り締まりが始まった。安全部(警察署)の機動打撃隊が、疑わしい民家を抜き打ちで検査する形で行い、住民にも報奨金付きで密告を奨励している。

ところが、これが思わぬ隣人トラブルへと発展している。

現場に踏み込まれ摘発された人たちが、連行される最中に「私を告発したのは誰なの!?」とわめき散らしたのだ。これを聞いた近隣住民たちは、当局のみならず隣人に対しても不審感を抱くようになる。

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「(市場抑制策で)商売あがったりで経済的に苦しくなるばかりでこのままでは飢えで一家全滅だ。だから皆、国が禁止することをやってでも生き残ろうとしている」(住民)

北朝鮮の人々は、密告者がいればコミュニティから徹底的に排除しようとする。多かれ少なかれ違法行為をしなければ生きていけない社会で、密告者がそばにいれば、自分の身に危険が及ぶからだ。また、そのようにすることで、密告者を牽制するという意味合いもある。

今回の場合、経済的に苦しく、報奨金に目がくらんだ誰かが密告をした可能性が考えられるが、近隣住民にバレたらもはや生きていけないだろう。

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さて、今回の取り締まりだが、時が経つに連れウヤムヤになる兆しが見えている。力のある地域の幹部とコネがある人は、うまく取り締まりを逃れている。実際、あらかじめ取り締まりに関する情報を流してもらい、機動打撃隊がやってくるのに合わせて、家を留守にして、ほとぼりが覚めるまで身を隠している人もいる。

また機動打撃隊も、タトゥーを施術している人を摘発してはワイロを要求し、なかったことにしたりする。

当局が「資本主義文化」と呼び排斥するものは、北朝鮮の人々が好むものだ。また、美に気を使うことと資本主義を結びつけるのにも限界がある。人々が求めているのは、誰もが自由に商売をして、普通の暮らしができることだが、タトゥーの取り締まりなど何の役にも立たない。