国連総会は19日の本会議で、北朝鮮の組織的で広範囲な人権侵害を非難する決議を議場の総意(コンセンサス方式)により投票なしで採択した。同種の決議採択は19年連続だ。
決議案の内容は大部分が昨年と同じだが、今年は新たに「全ての加盟国が根本的な『強制送還禁止の原則』を尊重するよう強く促す」とのメッセージが加えられた。北朝鮮が新型コロナウイルス対策として取ってきた国境封鎖が解除され、中国で拘束されていた脱北者の強制送還が再開された状況に懸念を示したものと言える。
近年、北朝鮮を脱出して韓国などに亡命する脱北者の数は減り続けている。いま強制送還されている脱北者たちの多くは、数年前(あるいはもっと前)から中国に潜伏していた人々だ。脱北者が減るのは、金正恩政権が国境の管理を厳しくしているほか、中露と米国の対立が、北朝鮮の立場を相対的に強化していることも影響している。