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金正恩政権の初期までは、違った理由で亡命が減少した側面もあった。北朝鮮国内で市場での商売が許容されたことで、「外国に逃れるよりここで頑張ろう」と考える人も相当数いたと思われる。

しかし最近になり、状況は一変した。金正恩政権は、国境を封鎖して貿易を停止するという極端なゼロコロナ政策に加え、市場の自由度を狭めている。韓流コンテンツ取り締まりなど思想統制のために最高刑を死刑とする新法を制定し、人々の生活はいっそう息苦しくなっている。

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そうした状況は、北朝鮮の人々に「一か八か」の決断を促す。5月、スイスのジュネーブで開かれた「人権と民主主義のためのジュネーブ首脳会議」でスピーチした脱北者出身の作家であるハン・ソンミさんは、自身に脱北を決心させた2009年のある出来事について語っている。

当時15歳だったハンさんは、ある女性が公開処刑される現場を強制的に「参観」させられたという。