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中国中央気象台は、吉林省長白朝鮮族自治県の11日の最低気温を氷点下15度、最高気温を0度と予想している。幅数メートルの鴨緑江を挟んで向かい合う北朝鮮の恵山(ヘサン)の気温もこれと同水準と見ていいだろう。ついに本格的な冬が到来するのだ。

現地の住民は、越冬用の薪の調達に追われているが、同じ両江道(リャンガンド)内でもより貧しい内陸の地域の学校では、充分な薪が調達できずにいる。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

北朝鮮の学校では以前から、燃料代を児童、生徒の親に負担させるようになった。現物または現金で納める形だが、道内の甲山(カプサン)や豊西(プンソ)の農村の学校では、もともと貧しい地域である上に昨今の経済難、食糧難が重なり、1クラスで1〜2人を除けば燃料代を出せていないという。ちなみに北朝鮮の学校では1クラス30人が一般的だ。

もし薪を調達できなければ授業ができなくなる。厳罰を恐れた校長たちは、いかにして薪を集めるか必死になる。本来なら10月末までには終えることになっているが、11月に入ってもまだ充分な量が調達できていない。

(参考記事:「住民は希望を失った」北朝鮮・高山地帯の深刻な食糧事情

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そこで、道内で最も豊かな恵山の一部学校は、自主判断で授業を取りやめて、農村の学校に送る薪を児童・生徒に調達させることにした。

ある初級中学校(中学校)は、学年別に1週間の期間を与え、授業を取りやめて生徒に薪の切り出しをさせている。市内から遠く離れた山で作業を行い、紐で縛って背負って運ぶのだが、通りかかった車のドライバーや牛車を引いている人は、苦労している子どもたちを気の毒に思い、薪を運んでくれるのだという。

大切に育てた娘や息子が力仕事をさせられているのを見た親たちは、「親として失格だ」と嘆いている。学校に現金を払えば免除してもらえるのに、日々の糧を得るのに精一杯なのだ。結局、子どもが苦労するのを承知で毎朝送り出すしかないという。

(参考記事:「僕が山に行かないと飢えちゃうよ」子供が食べ物を求めさまよう北朝鮮の惨状

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薪が充分に調達できてはいないのは恵山市内の学校とて同じだ。ある小学校のPTA会議に参加した学校関係者は「15日後(今月中旬)には暖房を始めなければならないのに薪がない。親たちが農村に行って薪の切り出しをして子どもたちの薪を調達して欲しい」と懇願したという。小学生に薪の切り出し、運搬を行わせるのは無理だからだ。

最も豊かな恵山ですらそんな状況になっているのは、「めったにないこと」(情報筋)で、現在の北朝鮮国民の生活が極めて厳しいことを示している。

(参考記事:石炭価格下落の裏で薪の高騰で苦しむ北朝鮮庶民