何でもかんでも秘密にしたがるのが北朝鮮。軍事機密ならまだしも、市場でのコメの値段や、ちょっとした事件のことでも、公式に認めたもの以外の情報が国外に漏れることを極度に嫌がる。
実際、本来は公表するような国勢調査の内容を妻に話し、結果的に国外流出を招いたアーカイブの所長が処刑された事例がある。しかし、いくら取り締まりを強化しても、情報の国外流出は止まらない。
(参考記事:金正恩の極秘情報をたまたま知った「平凡な主婦」の悲惨な運命)そんな中、デイリーNK編集部は、各地の朝鮮労働党の初級委員会に配布された「機密文書作成において守るべき原則」という内部資料を入手した。原則は7つの項目からなる。
機密文書作成において守るべき原則
(1)文書を作成する際、書記がその内容と部数を責任を持って検討し、批准しなければならない。
(2)すべての文書は、ウリマル(朝鮮語)の文法的要求に合わせて簡潔でわかりやすくしなければならない。
(3)すべての文書は、定められた形式に基づき、企画用紙で作成することを原則としなければならない。
(4)文書が2ページ以上になる場合には、ページごとに下段中央部にページ番号をふって、文書の左端を塗らなければならず、表紙には文書の題名、党組織の名前、作成日を書かなければならない。
(中略)
(6)外部のイルクンたちを動員して、文書の作成、正書させ、党内の秘密が漏れる現象がないようにしなければならない。
(7)上級党委員会から紀要文書として配布されたすべての文書は印刷、コピー、タイピング、写本をしてはならない。
この原則でまず注目すべきは2番目だ。北朝鮮で作成される文書なのだから、朝鮮語で書かれた当然だが、韓流の影響で朝鮮語の韓国語化が起きていることから、改めて朝鮮語の使用を強調したものと思われる。
(参考記事:「オッパと呼ばないで」金正恩が禁止命令を出した意外な相手)人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面
また、6番目、7番目は文書の国外流出を防ぐ目的であることがひと目で分かる。これを文書化することで、違反時には厳しい処罰を下すという警告の意味合いがあるものと思われる。
最近に入っても、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)で、過去数年にわたって内部文書を韓国に流出させていた容疑で、幹部が保衛部(秘密警察)に逮捕された事例がある。情報筋は、当局が情報流出を防ぐために様々な努力を傾けてきたが、それでも流出事例が後を絶たず、あらためて文書管理を徹底するために原則を定めたようだと解説した。
それにしても、情報流出を戒める文書が、また今回のように国外流出してしまうという冗談のようなことが起きている。北朝鮮の情報管理は、それほど深刻な状況にあるということなのだろう。