「オッパと呼ばないで」金正恩が禁止命令を出した意外な相手

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「我が民族が自らの固有の言葉と文字を持っていることは、われわれの大きな自慢であり、巨大な力です」

デイリーNK取材班は、このような金日成主席のマルスム(お言葉)が冒頭に掲げられた北朝鮮の教養資料を入手した。これは朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総政治局が今年7月に出した雑誌「軍人生活」に掲載された「朝鮮の国の象徴 国語」というタイトルの文章だ。

文章は、北朝鮮の標準語に当たる「文化語」について、「首領様がた(金氏一家)が、革命の首都の平壌の言語を基準にして民族語に転換、発展させられた」とし、「そうして、外来語、非文化的要素を清算、整理することで根本的な転換が行われた」と説明している。また、「民族語の固有な特性と優秀性を集大成し、現代的で洗練された挑戦された朝鮮語の原形」だとして、南の韓国語よりは優れており、文化語の使用を根付かせるべきと強調している。

兵士を対象にして行われる政治講演会では、この雑誌の記事をレジュメにして、さらに詳しい説明が行われる。

各部隊の宣伝員、政治指導員らは講演会のときにこんなことを言っているという。

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「入隊したての若い戦士(二等兵)は、未だに娑婆の空気を捨てきれず、娯楽会の時間に古臭く、腐りきった南朝鮮(韓国)の歌い方で、民間の歌を歌い、革命的軍風を乱している。これは利敵行為だ」

ご禁制の品とは言え、北朝鮮での韓流ドラマ、映画、バラエティ、K-POPの人気は非常に高く、禁じても取り締まっても根絶はできずにいる。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけ」女子高生が裁かれた禁断の行為

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それは北朝鮮の人々の言語生活にも影響を与え、韓国風の言葉を使う風潮が現れている。それが新入りの兵士にも現れているということだが、実際は長年在籍している兵士の間でも広く使われていると言われている。軍事境界線や中国との国境線から近く、人里離れたところで勤務していることと関連があるとの指摘だ。

例えば、女性が年上の男性を呼ぶときに使う「オッパ」という言葉は韓国式で、「オラボニ」が北朝鮮的に「ふさわしい」言葉だという。また、友人を指す「チング」よりも「トンム」の方がふさわしい。

(参考記事:15年やっても効果ない「韓国語禁止令」を繰り返す北朝鮮

また、講演では韓国風の言い回しのみならず、兵舎内での「オーケー?」「ノー」と言った英語の使用も問題視している。

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「最近、新世代の軍人たちが健全な思想意識と革命性、道徳性を守るための目安の一つが言語生活を革命的に行うことだ。(このような言葉の使用が続けば)敵どもに対する幻想を招き、さらには帝国主義の反動思想に染まり、革命の銃をしっかりと握る軍人たちの階級のまとが乱れてしまう」(講演者)

「言葉の乱れがなんとやら」という精神論だが、当局は、各部隊に対して8月25日の先軍節までに、言語における反社会主義、非社会主義(風紀を乱す行為)を自主的に検討、討論、思想闘争などを行い、総和(総括)した上で、上部に報告するように指示を下している。韓国式の言葉遣いをした者を吊し上げにせよということだ。

昨年12月の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」は、韓国風の言い回しや歌い方を禁じ、違反者には最大2年の労働教化刑(懲役刑)に処すと定めている。

しかし、吊し上げにしようが、刑務所に入れようが、韓流の魅力にハマってしまった人をもとに戻すのは難しい。厳しい取り締まりは、韓流の浸透を若干遅らせる程度の効果しか期待できないだろう。

(参考記事:北朝鮮国民の生活を縛る「反動的思想・文化排撃法」のヤバさ

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