北朝鮮当局は、新型コロナウイルスの感染防止策として、市や郡の境界線を越えることを厳しく統制し、旅行証(国内用パスポート)の発行を制限するなど、国内移動を厳しく抑えてきた。それがようやく緩和される兆しが見えてきた。
今月16日から、北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車の運行が再開されたことと共に、非常に注目される動きだ。
(参考記事:北朝鮮税関員、ワクチン2回接種…対中貿易を本格再開か)デイリーNKの高位情報筋によると、当局は国境に接する地域の防疫統制を強化する一方で、地域間の移動統制は緩和した。今までは公務や、冠婚葬祭などで事前に許可を受けた特別なケースを除いて、市や郡の境界線を越えることはできなかった。
脱北や密輸が多発する地域だけあって、他の地域より非常に厳しい統制が敷かれていた。
(参考記事:北朝鮮の「封鎖都市」でついに餓死者、一家全滅も)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面しかし、このような移動統制が2年も続き、住民の不満と反発が大きく、それを抑えるために多少緩和する措置を取ったものと思われる。市場経済化の進展に伴い、行商や商品を大量に他地方に動かす商売などができなくなり、物資の流通にも影響が出ていた。
(参考記事:コロナ対策の市場閉鎖に北朝鮮国民が猛反発「権力機関も恐れない」)具体的にどこまで緩和されたかは確認されていないが、移動統制の緩和に伴い、物流量や市場での商品流通量も徐々に増えるものと予想される。
海外のある北朝鮮研究者は「北朝鮮国内の市場の取引が活性化されれば、資金の流れも円滑になり、小規模の事業者や個人の商人が活気を取り戻すかもしれない」と述べた。緩和の理由のついてこの研究者は「円滑な商業活動を導く代わりに、当局に税金を収める形で経済政策を補完する目的があるかもしれない」と付け加えた。