故金正日総書記の指導の下、ジャガイモの名産地となった北朝鮮・北部山間地の両江道(リャンガンド)。土地が痩せていて気候が清涼なため、稲作ができるのはごく一部の地域に限られる。人々は慢性的な食糧不足に苦しめられていたのだが、この「ジャガイモ革命」の成功で、食糧事情は大幅に改善した。
保存設備が整っていないため、ジャガイモが取れすぎて処理に困るほどだったが、今年は状況が全く違うようだ。大凶作となり、収穫量が例年の半分以下となったというのだ。
(参考記事:北朝鮮「ジャガイモ革命」が成功しすぎて処分に困る)
現地のデイリーNK内部情報筋によると、道庁所在地の恵山(ヘサン)市の工場、企業所は、山奥の白岩(ペガム)郡、三水(サムス)郡のジャガイモ畑の割り当てを受けた。労働者自らの手でジャガイモ掘りをして、6カ月分の配給に当てるというものだ。
恵山靴工場が割当を受けた三水郡の館坪里(クァンピョンリ)にあるジャガイモ畑を例に挙げると、例年なら1ヘクタールあたり8トンの収穫があるのだが、今年はその半分にも満たないという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面工場従業員1人あたりの配給量が100キロにも満たない状況となり、工場は別の方法はないかと対策に探った結果、ひげがついたままのトウモロコシ17キロを配給することにした。しかし、1キロ500北朝鮮ウォン(約11円)と有料で、配られたのは労働者本人の分だけで、家族の分はない。
工場側は、当然のようにジャガイモの配給が得られると考え、労働者からあらかじめ1キロ150北朝鮮ウォン(約3.3円)から200北朝鮮ウォン(約4.4円)ほどで、6ヶ月分にあたるジャガイモ代を徴収していたのだが、ジャガイモの確保ができず、このような措置を取らざるを得なかったということらしい。
(参考記事:「ジャガイモの運送費」を教え子に負担させる北朝鮮の教師)こんな事態に陥った理由は明確だ。今年夏の長雨による浸水、その後襲った日照り、そしてコロナ鎖国による物資不足で肥料を適切に与えられなかったことだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面深刻な食糧難に苦しむ恵山の人々は、ジャガイモの配給に大きな期待をかけていた。ところが、見込んでいた量が得られなくなり、長く辛い冬が始まる前に、なんとかして食糧を確保しようと東奔西走しているとのことだ。
(参考記事:ジャガイモ収穫開始で北朝鮮「絶糧世帯」に恵みの雨)