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極度の食糧難が伝えられる北朝鮮。コロナを恐れるがあまり国境を封鎖し、貿易を停止したことで海外から物資が入ってこなくなったことによる「人災」に他ならないが、脆弱な北朝鮮農業の実情を考えると、予見されたことでもある。

各地で食糧が底をつく「絶糧世帯」が続出し、当局は傷んだトウモロコシを有償配給している。「餓死からだけは救ってやる」と言わんばかりの姿勢だ。その一方で、幹部にはコメが配給されているが、国内産ではないとの複数の証言がある。貿易が停止されているはずなのに、どういうことなのだろうか。

(参考記事:北朝鮮、超貧困の「絶糧世帯」に軍用食糧を配給

デイリーNK内部情報筋は、先月31日から中央党(朝鮮労働党中央委員会)、軍、保衛部(秘密警察)など特殊機関の勤務者に、5日分のコメが配給されたが、かなり良質のものだという。情報筋は、配給されたコメに小石が混じっていないことに驚きを見せた。北朝鮮では、コメに混じった小石をはじく機械がさほど普及しておらず、コメは小石だらけ。かつての日本のように、炊く前に小石を取り除く作業が必須だ。

北朝鮮国内でコメ関連の部門で働く別の情報筋は、「炊くとツヤがあって粘り気もある」「国内産でないことは確実で、以前に中国から入ってきたものでもこんなに質の良いものは見たことがない」と証言した。

金正恩総書記は、食糧難に喘ぐ国民に軍糧米を配給せよ、との特別命令書を発したと言われ、これに基づくと思われるコメが有償配給されている。だが、軍糧米は保存状態が悪く、かなり劣化していることが知られている。今回配給されたものは、特別命令に基づいて配給されたものとは全く別物であることが、質だけ見ても一目瞭然ということだ。

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(参考記事:「配給にカネ払えとはどういうことだ」金正恩命令に国民から批判

今回配給されたコメは、幹部家族を通じて市場にも横流しされ、市民の間にも「今まで見たことのないような良質のコメが幹部に配給された」との噂が広まっているとのことだ。「モノで釣って心を繋ぎ止める」のが北朝鮮の人心掌握術だが、逆にもらえなかったときの怒りは激しいものがある。噂を耳にした人々は「なぜあいつらだけもらえるのか」と激怒しているに違いない。

別の高位情報筋は、李炳哲(リ・ビョンチョル)党中央軍事委員会副委員長が中国から取り寄せたコメの一部が平壌に供給され、残り8割は「非常米」として備蓄されたと証言している。

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李氏は防疫規則を破り、独断でコメを取り寄せたとして金正恩氏の怒りを買い、更迭されたとの説が浮上しているが、今回配給されたものは、このコメである可能性が考えられる。

(参考記事:軍はなぜ暴走したか…金正恩が激怒した「重大事件」の深層