北朝鮮の金正恩総書記は17日に行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第3回総会の3日目会議で、米国の対北政策を批判しつつ、中国との関係強化に言及したもようだ。
北朝鮮内部にいるデイリーNKの高位情報筋によれば、金正恩氏は同会議で、最近の国際情勢に言及しながら、米国は最近、国際部隊で中国の力が大きくなっていることに恐れを抱いており、北朝鮮を「圧殺」しようとするのも、その傍証であるとの趣旨の発言を行ったという。
米国は北朝鮮の非核化よりも、中国との競争を重視しており、北朝鮮への制裁を強化するのも、中国に対する優位を占めるためであるとの認識を示したものと見られる。
(参考記事:「対話にも対決にも備えよ」金正恩氏、党総会で強調)
金正恩氏はまた、「核強国としての共和国の国際的地位を主動的に引き上げるため、新しい外交共同戦線を構築しなければならない」と発言。米国は現在の対北制裁では効果を得られないとの判断の下、「(対北)敵視政策をさらに露骨にするだろう」と述べたという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面さらに、外務省に対しては「米国が先に行動を示すまで、断絶も、回復もない状態を維持し、合理的かつ実利的な対応戦略を立てよ」と指示。同省と対外事業部門に対して「わが方に有利な対外活動環境と条件を造成するための戦略を準備せよ」としながら、「外国の企業と実業家が投資を行うのに有利な条件を確保するため、内閣とともに方法論を確立せよ」と命じたという。
こうした情報を総合すると、金正恩氏は当面、米国とは対話を行わず、中国をはじめとする伝統的な友好国との連携・交流を通じて制裁下の経済的難局を耐え抜き、実質的な核保有国としての立場を固めていく意向であると見られる。
一方、情報筋によれば、北朝鮮内部では金正恩氏が今年の下半期に訪中し、中朝首脳会談を行うとの見方が浮上しているという。情報筋は「新型コロナウイルスのまん延状況にもよるが、今年は中朝友好協力相互援助条約の締結から60周年になる年でもあり、9月ごろに首脳会談が行われる可能性がある」と話した。