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北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、昨年2月12日に配信した記事で、両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)市の建設工事について次のように報じている。

【平壌2月12日発朝鮮中央通信】朝鮮で、大規模の建設対象である三池淵市建設の第3段階工事が推進されている。

昨年に三池淵市建設の第2段階工事が終わり、朝鮮の革命伝統教育の中心地に山間文化都市の立派な標準、理想的なモデル地方都市が建設された。

第3段階工事の規模は、第2段階工事より大きい。

現場指揮部の関係者によると、今年に三池淵市の10余りの地区、農場で数千世帯の住宅と公共施設および生産用建物、750余りの各種の施設物と数百キロの送電線、数棟のホテルをはじめ20余りの重要対象が建設され、数十キロの道路舗装工事が行われる。

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細部的な建設対象まで合わせれば、その数は千数百に及ぶ。
(以下略)

「山間文化都市のモデル」として大規模な再開発工事が行われている「革命の聖地」こと三池淵だが、昨年10月に人民病院、11月に住宅が完成したとの報道があったものの、続報がないことから、工事の進み具合は思わしくないようだ。その一因は、工事にあたる労働者の待遇の悪さにある。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、工事にあたっている突撃隊(半強制の建設ボランティア)の栄養状態はひどい状態にあるという。

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隊員らは極寒の中、人力でブロックを積む作業を続けていたが、コロナ鎖国による食糧難で、国からの支援も、隊員家族からの個人的な差し入れも途絶え、食事はトウモロコシのカスだらけのご飯に、塩漬けの大根、味噌しかない有様。

北朝鮮は旧日本軍がそうだったように、補給を軽視する傾向が強い。国全体の食糧事情が今よりはるかにマシだった一昨年でも、現場の突撃隊員や建設部隊の兵士に対する待遇が劣悪で、飢えや寒さ、事故で命を落とす人が後を絶たなかった。現場に行くのを嫌った人々がカネを払って他人を雇い、代わりに現場に行ってもらう「代打労力」が流行るほどだった。

(参考記事:金正恩の「突撃隊」が機能マヒ…若者ら「生活の方が大事」

栄養状態が悪すぎて、春季戦闘(春の新たな建設プロジェクト)に参加できないほどの突撃隊員も続出した。また、国から衣服の補給がなされず、半分ほどの隊員はまともな作業服、作業靴がない状態で工事に臨まざるを得ない状態だった。

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現場のあまりにひどい状況について報告を受けた市党(朝鮮労働党三池淵市委員会)は、「国は女性たちの役割をさらに重視している」という謎の理屈で、女盟(朝鮮社会主義女性同盟)に対して、突撃隊員への支援に積極的に乗り出すよう命じた。

鶏の中にもち米やナツメ、ナッツ、漢方などを入れて蒸した、韓国の参鶏湯(サムゲタン)に似た料理、「タッコム」を突撃隊員に支援せよというのだが、その費用として女盟員1人あたり5000北朝鮮ウォン(約80円)の現金を出し、末端組織に3〜4羽の鶏を差し出すように命令した。

この地域の人々は、他よりは恵まれた暮らしをしていると言われているが、度重なる封鎖令(ロックダウン)で、経済的に疲弊しきっているところに下された今回の命令。市の境を越えることが禁じられているため、鶏肉は市内で調達しなければならないが、至難の業だ。

(参考記事:期間未定のロックダウンに震える北朝鮮「革命の聖地」の人々

女盟員の間からは「(地域には)工場も企業所も農場もあるのに、なぜ女盟にだけ負担を強いるのか」と強い不満の声が上がったという。中には「動員も女盟、物質的負担も女盟、女盟がすべてを牛耳っている、女盟なしでは何の仕事もできない国」だと、露骨に政府批判を行う者も現れたとのことだ。

地元から湧き上がる不満の声をよそに、当局は新たなマンションの建設のために、突撃隊の人員を全国からかき集める準備にあたっているが、コロナ鎖国による経済難で、国から資材の供給がなされないため、地元民の間では、資材調達のために、増員される突撃隊員の食事を提供するために、さらなる負担を強いられるのではないかと懸念の声が上がっている。

当局は既に、マンション建設に先立って行われた道路の舗装に必要なブロック、セメントの調達費用と称して、1世帯あたり10元(約170円)の現金を徴収している。

このような法的根拠のない金品の徴収を指す「税金外の負担」について、金正恩総書記は断固阻止して統制すべきと述べているが、まさに自らが旗振り役をとなった三池淵建設でそうした行為が多発しているのだ。

(参考記事:金正恩氏の「税金外の負担」禁止令、違反事例相次ぐ