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中国との国境に接した北朝鮮の慈江道(チャガンド)満浦(マンポ)市に先月26日、封鎖令が下された。

中国との密輸に関わっていた人を中心に12人が呼吸困難の症状を見せ、市内の病院で死亡したことを受け、金正恩党委員長が下した命令によるものだ。同市は8月末から9月中旬に続き2度目の封鎖だった。当局は「予防のため」と繰り返しているが、市民の間では、密輸品との接触で新型コロナウイルスに感染したとの噂が広まった。

封鎖は、今月14日になってようやく解除されたが、その後も混乱が続いているようだ。その状況を現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:北朝鮮国境都市、コロナ感染のおそれで2度目の封鎖令

封鎖中には一切の外出が禁止され、出勤もできない状況だったが、14日の封鎖解除後は外出が認められるようになった。また、問題となった密輸品は焼却処分されたが、一部の重要なものについては満浦税関に留め置かれ、消毒作業が行われている。

また、密輸に関わった税関職員、商人10人が逮捕され、安全部(警察署)で取り調べを受けている。彼らに着せられた容疑は国家転覆罪と殺人罪。多くが無期懲役となり、密輸の首謀者は公開処刑されるだろうとのいうのがもっぱらの噂だという。

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(参考記事:女性芸能人らを「失禁」させた金正恩の残酷ショー

情報筋が明らかにした、慈江道の非常防疫委員会に報告された集計によると、封鎖期間中にコロナの疑いで隔離施設に収容された人が320人、症状が表れその後に死亡した人は107人に達する。

それに以外にも医学的な調査が必要な対象者は別途隔離措置を受け、家の玄関には安全員(警察官)が「隔離」と書かれた紙を貼り付け、他の住民の接近を防いでいる。

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このような「コロナ騒ぎ」は依然として続いているが、市当局はこれ以上封鎖を続けると市民生活が破綻すると判断し、解除した模様だ。

「満浦市内では、薪の切り出しや石炭の掘り出しなど越冬用品を調達する期間に封鎖され、市民は何もできず、キムジャン(キムチの大量漬け込み)ができていない世帯が半分を超えた」(情報筋)

当局は、満浦市民1人あたり1日300グラム、10日分の食糧を配給したが、外出が一切できない封鎖期間は3週間で、全く量が足りていない。また、孤児を収容する育児院、初等学院では、封鎖による食糧不足で10人が餓死するという痛ましい事件も起きている。

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すでに餓死者が発生し、長く厳しい冬を乗り越えるために欠かせない薪と石炭、保存食であるキムチの調達ができなかったとあって、死者がさらに増える可能性がある。

すでに市民の間では「餓死した人はもっといるはず」との噂が広まり、感染症の拡大を未然に防ぐための封鎖が、人を餓死に追い込んでいる状況に、もはや国も防疫機関も幹部も信じられないと不信感が広がっている。

中には、「山中に疎開してテントで寝泊まりし、草の根や木の実を食べて暮らしたほうがまだマシだ」という人もいるという。

市内での移動は可能となったが、市外と結ぶ道路は依然として遮断され、軍需工場で必要な部品を除き、一切の物品が入荷しなくなり、市場には売るものがない有様だという。朝鮮労働党の慈江道委員会と満浦市委員会は、20日までの状況を見て、道路の封鎖解除を判断するとの方針だ。

現在、隣の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市でも、今月2日から封鎖令が下され、3週間の間一切の外出が禁止されているが、耐えしのぐための食糧を確保する時間が充分に与えられず、市内は大混乱に陥った。

(参考記事:北朝鮮「封鎖都市」で混乱…コメ価格が急騰、渦巻く不満