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制裁による厳しい経済難にさらされている北朝鮮。食糧不足、電力不足、外貨不足とないないづくしだが、上昇一辺倒だった不動産市場にも赤信号が灯った。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、平壌郊外の商業、流通の中心地、平城(ピョンソン)ではマンション建設が以前ほど行われなくなっている。現在も進行中なのは、玉田洞(オクチョンドン)、中徳洞(チュンドクトン)、陽地洞(ヤンジドン)、恩徳洞(ウンドクトン)などのマンション数棟に過ぎない。いずれも、家政婦を使うほどの富裕層が居住する地域だ。

(参考記事:北朝鮮の家政婦たちは「夫の月給の30倍」を1カ月で稼ぐ

別の情報筋も、「毎年春になれば住宅、工場、道路の建設工事が行われるものだったが、今年は住宅建設はほとんどなく、その他の工事も少ない状況だ」と話す。

住宅建設の少なさは、北朝鮮の市場経済を牽引してきたトンジュ(金主、新興富裕層)が苦境に追い込まれているか、不動産は儲からないと見て彼らが手を引いたのかどちらかだろう。

かつては投資すれば必ず儲かるものだった不動産も、2017年以降は下落傾向が続いている。その原因について情報筋は、国際社会の経済制裁に加えて、売りに出された物件がダブついてるためと見ている。

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制裁による生活苦から家を売って商売の運転資金にする人、家を抵当に入れてカネを借りたが返済に困り家を売りに出す人、家を買って親元から独立したが経済的に困り家を売り払って実家に戻る人などが続出しているという。ただでさえ供給過剰気味だった不動産市場に、これらの物件がさらに流入したことが暴落につながったというのだ。

当局は、不足する住宅建設の資金を補うために、トンジュから投資を集め、完成後は見返りに部屋を譲渡するという方式で、「住宅整備は国の仕事」という体裁を守ってきた。トンジュは部屋を転売することで儲けを手にした。マンション1棟が建てば、投資金額の3〜4割の利益を得られると言われていた。

建設資材のセメント、鉄筋、木材、砂利などは国内での調達が可能なので、さほど制裁の影響を受けていない。しかし内装材、インテリア用品、燃料などは輸入に依存しているため、大きな影響を受けている。中には、制裁で輸入が認められないものもある。

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デイリーNK取材班の調べによると、平均的な物件は市の外れで5000ドル(約55万円)、農村では1000ドル(約11万円)で取り引きされているが、昨年と比べて5割も下がっている。

下げ幅は市内中心部の方が大きい。一等地の駅前洞(ヨクチョンドン)のマンション価格は昨年初頭に10万ドル(約1100万円)を超えていたのが、昨年は5万ドル(約550万円)、今では3万ドル(約330万円)でも買い手が現れない状況だ。

不動産価格は2012年から2016年まで上昇が続いた後、2017年から下落に転じた。中国との国境に面する新義州(シニジュ)は、都市再開発計画の発表で一時的に持ち直したものの、全国的な暴落傾向は続いている。