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北朝鮮の社会主義労働法は、定年退職した人に現役時代の収入の3割を年老者年金を支給すると定めている。ところが、もらってもほとんど意味がない。額が少なすぎるからだ。

北朝鮮の国営企業、国の機関、軍に勤めても月給はせいぜい5000北朝鮮ウォン(約65円)にしかならない。食糧や生活必需品が配給されていて、現金がほとんど必要なかった時代の名残だ。

多くの人は、市場で商売して現金収入を確保し、生計を立てているが、定年退職を控えた幹部たちは、異色の老後対策を立てていると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

その方法とは、有能で忠誠心のある若者を自らの養子に迎えた上で、自分のポストを譲るというものだ。若者に権力と未来を譲り渡し、その代償として老後の保証を得るというわけだ。若者はこれに応じることで、給料とは別の現金収入とともに、北朝鮮で生きていくのに欠かせない「コネ」や「バック」も得ることができる。

幹部は、権限や職責を最大限に活用して、住民からワイロを受け取ったり、品物を横流ししたりして、自らの収入としている。社会のありとあらゆるものが、ワイロを受け取るチャンスとして活用されている。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

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金正恩党委員長が取り締まりを指示している「海外との携帯電話での通話」が、その一例だ。

しかし、そうやってワイロで蓄財しても、定年退職後に収入が途絶え貯金を食いつぶすだけの生活となれば、いつ財産が底をつくかわからない。そこで、上記のような老後対策が生まれたというわけだ。

これを始めたのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の幹部たちだとされる。在職中は住居も食糧も曲がりなりに保証されるが、定年退職後は自分の力で生きていかなければならない。

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商才がなければ生き残れない世の中で、これと言った技術もコネもなく、知識と言えば軍事関連のことだけで、困窮するのは目に見えているというわけだ。

そんなやり方を、保衛部(秘密警察)の幹部たちも真似するようになった。権力を失い、自分の力だけで地に足をつけて生きていくのが怖いということだ。咸鏡北道保衛部のある幹部は、成分(身分)もよく堅実で聡明な朝鮮労働党員の若者を選び、ずっと面倒を見続けることにした。

そして幹部が定年退職すると同時に、若者はポストに就くことになっている。ウィン・ウィンの関係になるように約束してあるとのことだが、どのような約束が交わされたか詳細は不明だ。