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今年7月に北朝鮮の咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸州(ハムジュ)で行われた公開処刑の様子を撮影した動画が公開された。

編み物工場に務めていたユ・ブニ被告は、トウモロコシ10キロを盗もうとして殺人を犯した容疑で逮捕されていた。今年4月、群集闘争という名の1回目の公開裁判が行われ、多くの住民が動員された。そして7月の2回目の公開裁判で、ユ被告に死刑が言い渡され、わずか5分後に執行された。

保安署(警察署)の関係者は「今から強姦殺人犯罪者キム・グに対する公開処刑と各種犯罪を犯した者たちを処罰する群集闘争」を行うと宣言しており、ユ被告以外にも銃殺された被告がいるものと思われる。

3月に公開された会寧(フェリョン)で行われた公開処刑の動画とは異なり、裁判の様子は撮影されていないが、被告が判決言い渡しの直後に銃殺される場面が映されている。

北朝鮮の刑事訴訟法179条には「群集を覚醒させ、犯罪をあらかじめ防ぐため、必要に応じて現地で裁判を行う」と定めており、公開裁判の法的根拠となっている。しかし、公開処刑の法的根拠は存在しない。つまり、法治主義が無視された結果ということだ。

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同条には「被告への教養に責任があるか、犯罪を行うすきを与えた当該関係者を参加させ、教訓を与える」との一文があるが、これも公開処刑の法的根拠というには無理があるだろう。

今年8月に発行された金日成総合大学の学内新聞は、「公開裁判は群集を教養(教育)、覚醒させるにあたって大きな役割を果たす」「犯罪者とその家族、親戚はもちろんのこと、住民に法と規律を守り、破った場合には法的制裁を受けることと、強い刺激を与えるもの」と主張している。これは前述の刑事訴訟法と軌を一にするものだ。

このような公開処刑は頻繁に行われているが、その背景には体制のゆらぎに対する当局の危機意識の高まりがあるものと思われる。

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保安署(警察署)での勤務経験を持つ脱北者によると、1997年ごろに「毎年2000人ずつ処刑せよ」との内部指示が下さ得れた。しかし、階層を問わず次から次へと処刑を進めた結果、基本階層に属していた者が、敵対階級に属するようになった。つまり、体制の脅威になるとみなされる人々が極端に増えてしまったということだ。

弊害の拡散と混乱、忠誠心の低下を恐れた当局は2000年頃から処刑を非公開に変更したが、見せしめ目的の公開処刑は続けられている。