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先週金曜日、デイリーNKは独自入手した朝鮮総連の内部文書を公開した。

中身を見れば一目瞭然だが総連中央が組織的な「抗議行動」を展開することを指示している。日本は北朝鮮と違い言論の自由が認められているので「抗議行動」自体は否定できない。日本を代表する「朝日新聞」もマス・メディアとして情報を発信するからにはその情報に対して責任を持つことは当然であり、今回の記事に対して総連が正々堂々と反論をするのならそれは潔く引き受け議論をすべきだ。

しかし「嫌がらせ」という方法で「言論弾圧」をする権利は認められていない。

抗議文書にはわざわざ「184=イヤヨ」という番号を押して非通知設定をすることや「1日に1回から2回以上の抗議電話をしろ」と事細かく指示している。自らの正体を隠してノルマを課した行動はとても「抗議行動」とは言えない。さらに最後には「抗議行動」の結果を総連中央に報告の義務まで付け加えてある。もはや組織的な「言論弾圧」とも言えるものだ。

しかし今回の「朝日新聞」のコラムは他紙でもよく見かける内容や論調でそれほど珍しくない。にもかかわらず何故ここまで執拗に組織的な抗議行動を展開するのか?

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ここから透けて見えるのは総連が未だに「朝日幻想」を抱いているということだ。

日本の代表的な新聞(朝日、読売、毎日、産経、日経)の中でも朝日新聞は最も権威があり、リベラルな論調から総連からは比較的信頼のおける新聞、もしくは信頼に値する新聞と位置づけられている。これは総連のみならず日本のリベラル派全体に言えることだが、過去の日韓問題における論調から総連の中では未だに「朝日幻想」が根強く残っている。実際のところは個々の事案に対しては北朝鮮に対して厳しい論調もあるのだが最近の「高校無償化」では「朝鮮学校にも無償化を認めるべきだ」との論調だ。

その朝日新聞が「健康問題」「後継者問題」「天安艦事件」、果ては「W杯のポルトガル戦」までを取り上げて「共和国」と「将軍様」を貶めたことが総連中央の反発を招いたようだ。総連にとっては「裏切り行為」に思えたのかもしれない。同時に最も権威のある「朝日」が総連の権威の象徴である「将軍様」を貶めたことに対する反発、すなわち権威主義の裏返しなのかもしれない。

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一方で、政治的な戦略も伺える。内在する不満や危機を外部へそらすのは典型的な北朝鮮の手段だ。過去、総連は大小関わらず日本のメディアに対して今回のような「言論弾圧」で対処しそれなりの成果を得た時代もあった。しかし、もはやそんな時代錯誤な方法が通じる時代ではない。また、こんなことを続けているようでは組織の再生どころか衰退すら招きかねないだろう。結局、総連が再生するには「金正日将軍との運命共同体」、言い換えれば「北朝鮮との主従関係」から脱却することが不可欠である。

今回の抗議行動の背景にある総連の「朝日幻想」は言い換えればどこまでも伝わることことのない「片思い」でもある。しかし「片思い」を伝えることがエスカレートすると社会的には「ストーカー行為」と言われ断罪されることを総連中央は知っているのだろうか?