「グアム包囲射撃」を先送りしたその姿勢に、金正恩氏の弱気さを見たからなのだろうか――と、思ったら、真相は違っていた。平安南道(ピョンアンナムド)に住むデイリーNK内部情報筋は、当時の出来事について次のように伝えてきた。
「司令部の将兵は金正恩一行を熱狂的に迎えたが、その後がいけなかった。ミサイル発射に関わる一部の中核部隊の将兵とのみ記念写真を撮り、防空部隊や後方部隊の兵士たちを『仲間はずれ』にしてしまったのだ。そして何より、兵士たちへの贈り物が貧弱だった。指揮官たちには様々なモノが与えられたのに、兵士たちには『大徳山』(テドクサン)のタバコ1カートンが配られただけ。これで『やってられない』という空気が生まれてしまった」
大徳山は通常、佐官クラスの幹部に配られる高級タバコだ。