とはいえ、難民が来る可能性がゼロではない以上、備えは必要だ。結論は、相当数の警察官や自衛隊員らに徹底した朝鮮語教育を行うための予算措置を取る必要があるということだ。
では、安倍氏や麻生氏が、そんな政策を主導する可能性はどれくらいあるだろうか。筆者には、「ゼロに限りなく近い」としか思えない。言語教育は通訳育成のためだけでなく、有能なアナリストを育てる上でも重要だ。だがそもそも、日本は情報マンの育成にも熱心だったとは言えない。
かつては日本にも、対北朝鮮の情報力で世界に名を知られた凄腕スパイ(公安調査官)がいたが、その人物も組織の論理の中で飼い殺しにされた。
(参考記事: 【対北情報戦の内幕】あるエリート公安調査官の栄光と挫折)もちろん、有能な通訳や情報マンを育てるには数年、あるいは十年以上もかかる。しかし今までそれをして来なかったから、現在のお粗末な状況があるのだ。