金正日氏は衰弱する一方で、金正恩氏は権力を手中に収めきれていない。この空白を張成沢氏が埋めることを願っているようだが、彼がそれだけで満足するようには思えない。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の内部では、彼のことを「野心家」として警戒する声が少なくない。
金正日氏は2004年、張成沢氏を左遷し、革命化教育を受けさせたことがある。その最中に交通事故に遭ったが、暗殺未遂ではなかったのかという噂が立ち始めた。
2006年9月、張成沢氏が高級党学校で再教育を受けていたころ、平壌の革新通りと英雄通りの交差点にある祖国解放戦争記念館付近で交通事故に遭った。幸い、正面衝突は避け、腕の骨が折れる程度で済んだが、入院生活は5ヶ月に及んだ。運転手も命に別条はなかった。事故を起こした車両は逃走した。
捜査結果は機密とされているが、知人によるとこの車は外貨稼ぎを担当する朝鮮人民軍総政治局56部の部長のチャン・スジョン大佐の車とのことだ。それも、事故は意図的なものだったという。