北レスで、ウェイトレスたちへの人権侵害が行われているなら決して許されるべきではないが、彼女らが見せる微妙な変化は、北朝鮮社会の変りようを垣間見せるものでもあった。彼女らにとっても、比較的自由に外国文化に触れることができる職場だったのだ。たとえばタイの北レスでは、ウェイトレスたちがAKB48のヒットナンバー「恋するフォーチュンクッキー」を披露している。
(参考記事:20代美人ウェイトレスを直撃……「北朝鮮レストラン」の舞台裏)北レスがなくなることは、閉鎖的な北朝鮮社会と外部世界をつなぐ数少ない経路がなくなることも意味する。仮にそうなれば、その全責任が金正恩党委員長の「核とミサイル」のやりたい放題にあることはいうまでもない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。