被害者家族やこの問題に取り組む関係者からは、日本政府に「核問題と切り離して拉致を最重要課題として取り組んで欲しい」と求める声もある。被害者家族の切実な声は理解できるが、北朝鮮と独自に交渉するとなれば、国際的な足並みを乱していると見なされかねない。日本政府の立場は苦しい。
しかし日本政府は、北朝鮮の国家的な人権侵害を国連で告発し、国際的なイシューとしてきた。日本人拉致問題だけでなく政治犯収容所の問題など、総合的な人権問題の面から北朝鮮を告発する主導的な役割を果たしてきた。今さらほかの人権問題から目を逸らし、拉致問題だけに集中するのも道理に合わなくなっている。
(参考記事:北朝鮮、拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も)だが、拉致被害者の命には限りがあり、被害者家族の高齢化も進んでいる。