現在の北朝鮮の市場状況は貨幣改革以前に戻った姿だ。現在の米価格は2〜3月と比べて安定傾向を見せている。特に金正日訪中後、中国から食糧が入ってくるという噂が広がり(5月)下降安定傾向が明確になった。
内部消息筋によれば米価格は咸鏡北道会寧で480ウォン(kg/6月4日)、新義州で420ウォン(6月7日)、平壌水南区域で360ウォン(6月2日)、沙里院380ウォン(6月7日)となっている。とうもろこし価格は 通常は米価格の50%前後だ。しかし、最近黄海道地域で豚の飼料としてとうもろこしを使用する酪農家が増加した為、 米価格の70%まで上昇する特異な現象も見せている。
中国の食糧支援状況を公式的に確認する事はできないが、北朝鮮当局が3月から外貨稼ぎ機関を積極的に促し、中国からの食糧支援を引っ張ってきたのが米価格の安定化に寄与していると考えられる。内部消息筋は「中朝国境地域で食糧密輸が再び活発化したのも少なからず影響している」と話した。
「5、6月の春窮期には食糧価格が再び上昇する」という当初予想が外れた理由には、『市場の正常化』が一番に挙げられる。
消息筋は「貨幣改革前よりは工業品取り引きが若干減ったが、ほぼ以前の姿に戻った。買う人も売る人も市場をいつでも利用でき、今は価格変動幅が大きくない」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面しかし、5月から本格的な田植えが始まり市場の運営時間が短縮された。『全員が田植え戦闘に参加せよ』との『田植え戦闘令』が出され「その日に食べる食糧やおかず、生活必需品購入のためにだけ市場を利用せよ」という方針が伝えられた。
「全ての地域の市場は午後2〜4時に開場し日没には閉める」と説明した。勿論僅かな差はある。咸鏡北道地域では普段は日没時に市場が締め切られるが、田植え動員で圧迫を大きく受けている黄海道と平安道地域の市場は午後6時に閉鎖する。
米値段が安定化されたからといって食糧の心配が無くなったわけではない。市場の商人は現在の食糧価格に対し、相変らず不安感を拭いきれていない。7月からは食糧価格が再び上昇するという噂が絶えないからだ。咸鏡北道党委員会では5月に幹部会議を開き、『7〜10月分の食糧配給は各単位別に自ら準備せよ』という指示を与えている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面何よりも農業状況が心配される。北朝鮮は今年の春の農作業開始から深刻な肥料難を体験した。金正日の訪中後、中国産肥料の流入が行われ一時的に『解消』されたが、夏の農作業に必要な肥料問題は未だ解決されていないと伝えらていれる。
最近金正日が無煙炭肥料を生産する平南安州市の南興青年化学連合企業所を訪問し、『南興で肥料が大量生産される事は大慶事』と祝賀したが、これは肥料問題に対する北の苦悩をうかがい知れる一面だ。天安艦事件による南北関係断絶と国際社会の制裁も、食糧価格を不安定かさせる一つの要因だ。
最近市場周辺には『イナゴ』と呼ばれる路地露天商が大幅に増加したという。露天商が増え人民保安部の取り締まりも厳しくなった。消息筋は「貨幣改革によって大きく損をした中間階級が下層階級に転落したため」と評価する。テレビなど家電製品や家具の様な『高価物品』の取り引きが大きく減ったのも、このような事情からだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮貨幣に対する信用下落は今も進行している。消息筋は「平壌ソンMョ市場で3万ウォンのジャンパーを買う場合、ドルでは30ドル(市場為替レート基準で27000ウォン)だが、北朝鮮ウォンで支払う場合には3万ウォンを出さなければならない」と話した。ウォンで購入する場合には、ドルと比べて10%の追加金が必要とされる。
北部地域ではドルよりも人民元がさらに人気だ。平壌・元山・沙里院・ヘジュなどでは、ドル>ユーロ>ウォンの順番で好まれるが、慈江道・両江道・咸鏡北道ではユーロの代わりに人民元>ドル>ウォンとなっている。ドル・人民元・ユーロ・ウォンが全て使われる地域は、新義州と南浦などだ。この様な状況でテレビやDVDプレーヤー、冷蔵庫など高価製品は、ドルや人民元でだけ取り引きされていると消息筋は説明した。
「小額貨幣が大きく不足している為、市場取り引きに不便が多い」と付け加えた。
北朝鮮は貨幣改革当時、1銭・5銭・10銭・50銭および1ウォン・5ウォン・10ウォンなど7種の小額紙幣とコインを公開した。 『銭』単位のコインは物価の上昇で需要がないが、1ウォン・5ウォン・10ウォンは市場取り引きで頻繁に使用されるにもかからわす、貨幣不足に不便を感じているという消息筋の説明だ。 商人は大部分10ウォン、50ウォン単位で物価格を定めている。