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「北朝鮮の人間魚雷の攻撃能力を軽視してはいけません』

天安艦沈没事件の初期段階で北の『人間魚雷』攻撃の可能性を、主要日刊紙が報道した時期があった。親北媒体や一部のインターネットユーザーらはこの主張に対し、『映画007で可能な話』と切り捨てた。民軍合同調査団が「天安艦は北朝鮮の小型潜水艇の魚雷攻撃による沈没」と究明した為、人間魚雷攻撃説は完全に姿を消した。

2008年に木造船で西海を通じて脱北したカン・ミョンチョル(仮名)氏は、「西海での人間魚雷攻撃の可能性は常にある」と主張する。合調団の発表によって論議に終止符が打たれ『人間魚雷攻撃』を、カン氏が再び切り出した理由は何なのだろうか?「天安艦を攻撃したのは『人間魚雷』ではないが、今後、人間魚雷攻撃の可能性がないと断定してはならない」という主張だ。

2008年に入国したカン氏は北朝鮮軍の元中佐で海軍が専門分野の人物だ。海軍司令部所属西海艦隊第8戦隊、第11戦隊、第34戦隊と、北朝鮮の『海兵隊』と言われる海上狙撃隊にて訓練指導検閲官を歴任した。

同氏は今後、北朝鮮の人間魚雷攻撃に備えなければなければならないと警告した。第1次延坪海鮮から大青海戦まで北朝鮮は水上艦を利用した肉弾挑発を行ったが、今回は潜水艇の魚雷攻撃でを行っており、残された挑発オプションは人間魚雷攻撃の可能性が高いと主張している。

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「北朝鮮海軍は3人組、5人組、6人組などで編成された特攻隊を小型潜水艇に搭乗させ西海付近に侵入させた後、人間が弾頭を直接携帯し船舶を攻撃する訓練を行っている。人間魚雷攻撃は発想自体は原始的だが、満潮、引き潮を上手く利用できれば最高の効果を得ることができる攻撃方法だ」と説明した。

ゲリラ戦が軍事戦略の重要な手段として活用されている北朝鮮では、人間魚雷攻撃方法を非常に妥当な戦術で認識しており、訓練を行っているというわけだ。

人間魚雷訓練を受けるのは海軍司令部直属の部隊だ。春と秋の2度開かれる召募事業(徴集事業)が始まると、海軍司令部が軍事動員部(韓国の兵務庁)に出向いて訓練兵を選抜する。年間で300人規模の訓練兵を選抜するが、1年間の基礎訓練を経て最終選抜される人員は30人前後だ。体力と出身成分を基準に選抜され、徹底的に隔離し訓練を受ける。彼らに対する待遇は北の軍人では最高レベルの戦闘機操縦士や潜水艦乗務補助員よりも良いとカン氏は説明する。

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人間魚雷要員の教育は海上訓練が60%、地上訓練が40%で編成される。海上訓練は2泊3日間水面に浮かび続ける生存訓練と深海潜水、水中爆破などだ。地上訓練は撃術、射撃、侵入および帰還訓練等が行われる。韓国の特戦司令部とUDT訓練を足した感じだ。

基礎訓練の場合は平壌市スク島付近、適応訓練は潜水艦基地のあるピパ岬付近の南浦市チョ島で訓練をする。最終段階の実戦訓練は人民武力部偵察総局訓練所がある黄海南道マハプ島で行う。

同氏が説明する人間魚雷の侵入ルートは西海ファリン島海域だ。満潮を利用して西海の北方境界線(NLL)に近い黄海南道ファリン島を出発し、1人につき磁石爆弾(高濃縮爆薬4キロ)を目標物に付着し、引き潮を利用して目標物から抜け出した後、遠隔操作で爆発させる。作戦完了後はチャンサン岬まで出迎えにきた潜水艇で撤収するという。

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「深夜に半潜水艇(速度60ノット、6人乗船)を利用し、NLL後方に迂回し浸透するルートや軽潜水艦を利用し暗礁の多いペクリョン島近海ルートに気を付けなければならない」と話した。

軽潜水艦は定員が10人〜12人程度で機動性が高く、暗礁に潜伏し目標に接近し攻撃を行う事ができる故、韓国海軍が監視・捕捉が難しいだろうと北は判断していると話した。

「韓国は科学化・電子化が進んでいる為、北朝鮮の原始的な方法を軽視しすぎている」と自身の経験談を打ち明けた。カン氏は木造船に乗って西海上に亡命した。韓国に到着し韓国の軍人に『北からやってきた』と申告するまで何の制裁もなかった。その後、帰順意志を表明し亡命した。

同氏は今回の事件は北朝鮮の西海艦隊第11戦隊が行ったと考えている。第11戦隊は北西海艦隊の主力潜水艦戦隊で、天安艦を攻撃できる火力(潜水艦および魚雷)だけでなく、ゲリラ戦運用能力も最も高い水準だという。第11戦隊は黄海南道クヮイル郡ウォルサ里に位置している。

一方で、カン氏は一般の海軍の火力と部隊運営実態に対して『良くて70年代の水準』と評価した。

「北朝鮮は未だに50年代のロシア式木造船魚雷艇もある。水上艦の場合、燃料不足で十分な訓練を行えず停泊しているだけで、腐食と故障が多い。私が2005年に11戦隊の検閲を行ったが、下士官らが適量の半分にも満たない雑穀ご飯と塩漬け大根で食事を済ませていた」と付け加えた。

1999年の第1次延坪海戦を振り返って「韓国に惨敗した事実が人民に知れ渡るのを恐れケガ人の処置を遅らせた為、6人が追加で死んだ」と証言した。北の海軍は交戦中に負傷した場合、即座に南浦に位置した『34号病院』へ移送される。しかし、韓国海軍に敗北した事実が住民に知れ渡るのを恐れた海軍首脳部の指示の影響から、深夜まで負傷者の搬送を遅らせ死亡者が増えたという。

「北朝鮮は数百隻の魚雷艇と軍艦を所持しているが、燃料不足により戦時に動かす事が出来ず、その場で撃沈される可能性が高い。北朝鮮が公開的な海上戦よりも、海底攻撃などのゲリラ戦に執着する原因がここにある」と最後に説明した。