北朝鮮では、当局の主張する無償医療制度はとっくの昔に崩壊しており、治療を受けるには医師や看護師にワイロを渡す必要がある。また、国家や地方機関が運営する病院には医薬品がないため、単なる紙くずにすぎない処方箋を出すことしかできない。そのため、少なくない国民が覚せい剤に医薬品としての効果があると勘違いし、まん延に拍車がかかっている。さらには医師も医大や専門学校を出たての新人が多く、ベテランは高額な報酬を要求する「ヤミ医療」に走っているのである。
(参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」)アンダークに証言を行ったもうひとりの脱北者、平安南道(ピョンアンナムド)の医大を卒業して1998年に医師になったコ・ユンソンさんは、現在は韓国の高麗大学病院でレジデントを務める。