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北朝鮮の首都・平壌は、地下鉄、路面電車、トロリーバス、バスなど公共交通機関が非常に発達している都市だ。しかし、それ以外の地方都市の公共交通機関は非常に貧弱だ。

バスはあるにはあるが、燃料不足のため、待てど暮らせどやって来ない。そのため、人々は徒歩もしくは自転車で移動するが、荷物を運んだり、中距離以上を移動したりするのは大変だ。また、有人の駐輪場に停めても、盗難のリスクがあり気が気でない。

そこで最近人気を集めているのはサイクルタクシー(輪タク)だ。

(参考記事:北朝鮮の女性が勝ち取った「自転車に乗る権利」

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、町の市場の周辺で客待ちをしているサイクルタクシーを見かけることが増えた。人気を集めているが、その理由は料金の安さだ。

40キロの運賃は、タクシーが2万北朝鮮ウォン(約260円)、バスが1万5000北朝鮮ウォン(約225円」、バイクは1万北朝鮮ウォン(約130円)だ。一方、サイクルタクシーは12キロで5000北朝鮮ウォン(約65円)だ。

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他の交通手段と違い、サイクルタクシーは荷物の数や量により追加料金を払わなければならないが、それでも他よりは安くなるようだ。

交通手段の多様化は、草の根市場経済の進展による一種の分業化と、貧富の差のあらわれと言えよう。サイクルタクシーを使うのは主に零細商人で、トンジュ(金主、新興富裕層)はタクシーを、一般の商人はバスやバイクを使うという。

自転車を持っている人にとって、サイクルタクシーは手頃な仕事だ。1日の儲けは1万北朝鮮ウォン(約130円、コメ2キロ分に相当)になり、食いっぱぐれの心配はなくなる。ただし、道路事情の悪い農村に行けば、自転車の修理費用で儲けが飛んでしまうそうだ。

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ちなみに、タクシーやバスの運賃は、乱高下するガソリン価格とは関係なく安定している。競争が激しいため値上げすれば客に逃げられてしまうので、差額はドライバーやオーナーが負担するとのことだ。