北朝鮮の流通の中心地、平城(ピョンソン)と順川(スンチョン)ではタクシーの数が増加している。順川では、2〜4人乗りのセダンよりも、5〜8人乗りのワンボックスカーのタクシーが増えている。荷物がより多く積めるからだろう。
タクシーは男性ドライバーと女性車掌の2人1組で営業するが、北朝鮮では車掌の地位がドライバーよりも上だ。それは、車掌が車のオーナーだからだ。車掌は助手席に座り、男性ドライバーの働きぶりを監視しつつ、乗客から料金を受け取る。
彼女らがドライバーとして雇うのは男性の朝鮮労働党員で、彼らを服従させる女性オーナーの姿はまるで党書記のようだと情報筋は語る。たとえ党員であっても、女性オーナーに気に入られなければ、たちまち解雇されてしまう。社会をリードするエリートだった労働党員が、社会の変化に伴って雇われる立場となったのだ。