3年前に東南アジアで正男氏と接触した在日韓国人の男性によれば、「正男氏が投宿していたのは、超一流ではないが十分に高級なホテルだった」という。正男氏はおそらく、米国からの一定額の支援に加え、ほかにも収入源があったか、あるいは情報提供などの対価としてより高額な経済支援を米国から受けていた可能性もある。
しかしそれにしても、北朝鮮の権力中枢から長らく遠ざけられていた正男氏に、米国はどのような価値を見出していたのだろうか。
考えられるのは、北朝鮮の体制内部に正男氏の協力者がおり、その人物が、価値のある何かをもたらしていたということだ。
(参考記事:「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。