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国営の水産事業所としても、漁獲の減少は経済的にも政治的にも打撃だ。そこで事業所は「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層と結託し、国の貯蔵施設にあるディーゼル油の買い占めに走っている。トンジュは、江原道(カンウォンド)の文川(ムンチョン)などにある貯蔵施設を回り、1人あたり30~40トンのディーゼル油を購入。それを水産事業所に納入しているという。

事業所がトンジュと結託するのは、燃料の買い占めが、国家の計画経済から逸脱する行為と見なされるからだと思われる。計画経済は実質的には破たんしているのだが、たとえタテマエであっても、行政機関同士の歩調は合わせなければならないのだろう。

しかし、お上がこんな具合とあって、買い占めは民間にも拡散。8~12馬力の小型漁船を持つ個人の船主らも、燃料確保にわれ先に乗り出しているという。 もっとも、中国が北朝鮮への原油の供給を止めるかどうかは、今もって未知数だ。新たな核実験が行われて情勢が極度に悪化しても、果たして全面ストップまでいくかどうか。