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春を迎えた北朝鮮の各地で、種まきが行われている。3日の労働新聞は、両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)郡の各協同農場で、農場員のみならず、軍の兵士、中央省庁の職員まで動員してジャガイモの種イモを植えたと伝た。

北朝鮮メディアはこうした報道と並行し、国内の工場で肥料が大々的に生産されていると伝えているが、実際には深刻な肥料不足に陥っているもようだ。現地からの情報を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、10日ごろから始まる種まきを前にして、会寧(フェリョン)市内の高等中学校(高校)の生徒たちは1日から腐植土の生産に動員されている。これは中央の指示ではなく、労働党の会寧市委員会と農村経営委員会の指示によるものだ。

しかし、トラックや荷車が不足しているため、生徒たちは背負子を使って作業をしている。こうして生産する腐植土は1日に軽トラック1台分になる。

腐植土は、黒補酸肥料を作るのに欠かせない。腐植土1トンと窒素肥料50キロ、肥やし200キロを混ぜ、40日間発酵させて作る。当局は普通の腐植土を使うより30倍効果があると宣伝しているが、実態としては、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の頃に物資欠乏を補うために作り出された代用肥料に過ぎない。

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また、腐植土は栄養土を作るのにも使われる。

両江道(リャンガンド)の農業関連の情報筋によると、現地では高等中学校の生徒だけでは人手が足りず、人民班(町内会)の住民まで協同農場に動員し、腐植土生産を行わせている。

これは、種まきが始まる前に黒補酸肥料を生産せよとの中央の指示によるものだ。また、内閣の農業省は、トウモロコシは直接種まきするのではなく、栄養土を作った上でまくことを指示している。これは、化学肥料を充分に確保できていないことを意味する。

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栄養土を使えば、普通の土にまくよりはマシだが、化学肥料と比べれば「効果は100分の1」(情報筋)だという。

北朝鮮は中国に石炭を輸出し、その利益で化学肥料を輸入していた。しかし中国は、国際社会の制裁に同調して北朝鮮からの石炭輸入を停止している。また情報筋は、中国が原油輸出を制限しているため、北朝鮮国内で化学肥料を生産することも難しいとしている。