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北朝鮮と中国の国境地帯では、中国の人民解放軍が部隊を増強するなど、緊張感が漂っている。国境警備の強化で、かつてなかったほど密輸が難しくなっているが、北朝鮮の人々は抜け穴を見つけて、密輸を続けている。韓国の北朝鮮専門ニュースサイト、ニューフォーカスが報じた。

現地の情報筋によると、北朝鮮の人々は核実験やミサイル発射に全く関心がない。北朝鮮当局は国営メディアを通じて戦争の危機を煽り立てているが、人々はいつものことだと聞き流し、いかにしてカネを儲けて生き残るかということばかりを考えている。

この地域の経済を支えてきたのは密輸だ。しかしそれが、最近の国境警備の強化で困難になっている。国境の川・豆満江(トゥマンガン)に面した両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)周辺は国境警備隊の監視塔が増設され、大っぴらに密輸はできない。人里離れた場所まで行けば出来ないことはないが、以前に比べてリスクが高まっているため、密輸品の運搬は、他人を雇わず家族で行う。

かつて北朝鮮から中国へ密輸される主力商品は地下資源だったが、昨年あたりから取引が止まってしまった。恵山近郊の銅山が枯渇してしまった上に、金(ゴールド)は、北朝鮮と中国で価格差がなくなったからだ。

そこで脚光を浴びているのが薬草だという。

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北朝鮮の密輸業者は、1990年代中盤から2010年頃にかけて、ウチワドコロという、ヤマノイモ科の植物で自然薯に似た薬草を輸出していた。根をうかつに食べると喉や胃腸の炎症、麻痺を引き起こす毒草だが、漢方では爬山虎と呼ばれ、正しく使えば消炎、鎮痛、去痰の効果があるとされる。

以前は非常にありふれた植物だったが、採り過ぎのため姿を消してしまった。そこで新たに注目を浴びているのが、ヨロイグサという薬草だ。

白芷(びゃくし)とも呼ばれ、鎮痛、排膿の効果のある漢方薬として使われているが、北朝鮮から中国には農薬の原料という名目で輸出されている。両江道の中でも特に寒い白岩(ペガム)郡に多く自生している。5年前に密輸が始まる前は「毒の草」と呼ばれ、忌み嫌われていたのだが、今では「金の草」と呼ばれるようになっている。

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北朝鮮では1キロ1元(約16円)で取引されるが、国境の川を渡って中国で売れば価格は3倍に跳ね上がる。中国の商人は、高麗人参などの高価な薬草より、原価の安い薬草を求めており、ありふれていて枯渇の心配がなく、価格が安定しているヨロイグサを好むようだ。

白岩以外でも三池淵(サムジヨン)郡の鯉明水(リミョンス)、茂峯(ムボン)で多く採れ、恵山と普天(ポチョン)の市場に入荷する量は1日平均で10トンに及ぶ。そのほとんどが、合法または非合法な形で中国に輸出されている。

石炭や銅の輸出と比べると利益はぐっと小くなるが、庶民が生活するには十分な収入が得られる。

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情報筋は語る。

「制裁が強化され、中国が国境警備を徹底しても、密輸の根絶は難しい。苦難の行軍を経験した北朝鮮の人々は、どのようにしてでも生き残ろうとする精神が強くなった。また、数十年にわたり密輸を行ってきた中国の業者はとても義理堅く、困っている時は何かしら抜け道を教えてくれる。今まで密輸してきた物が中国政府に禁止されれば、別の物に切り替えて取引を続けようとする」

他方では、北朝鮮から中国に大麻を輸出する動きも起きている。中朝両国の当局がさほど問題視しないことを狙ってのものだ。