国家保衛省の内部事情に精通した別の情報筋によると、昨年末、組織指導部党生活指導課(総括を取り仕切る部署)が、国家保衛省に対する検閲を行ったが、その時は、金元弘氏が復帰できると考える人は誰ひとりとしていなかった。つまり皆が皆、彼の命運は尽きたと考えるほど過酷な検閲が行われたということだ。
しかし、ここに来て金元弘氏よりも苦しい立場に追いやられているのは、組織指導部幹部3課(地方指導担当)の方だという。
金元弘氏は、検閲の際、労働党の地方組織の幹部に対する個人崇拝や、地方割拠主義が深刻なレベルに達していると訴え続けた。歴代の最高指導者が最も警戒し、その萌芽を容赦なく摘み取ってきた宗派(分派)主義が、地方において深刻化しているということだ。実際、金正恩体制になってから、地方の党組織が肥大化しているという批判が多く寄せられていた。