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北朝鮮の幹部たちの忠誠心競争が、莫大なムダを生んでいる。党や行政の機関、国営企業や工場、軍の幹部が、山積する課題そっちのけで、金正恩党委員長が現地指導に訪れたことを示す史跡碑(石碑やモザイクタイル)の設置を最優先で進めており、その傾向が度を越してきているのだ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)と江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋によると、以前なら正恩氏から指摘された内容の実行が最優先課題だったが、最近では、史跡碑の設置が優先されるという。

江原道のある軍部隊を例に取ると、兵舎や食堂への電気の供給は止まったままだというのに、史跡碑にはソーラーパネルを設置して、夜通しライトアップする計画だ。

史跡碑の設置はこれまでにも行われていたが、最近になって最優先課題となったのは、幹部たちが、「ちょっとしたことで揚げ足を取られ、粛清されるのではないか」という猜疑心にとらわれているためだ。

2013年12月12日、国家安全保衛部(秘密警察、現国家保衛省)特別軍事裁判は、張成沢氏に対して死刑を宣告したが、その判決文に次のような一節がある。

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「奴(張成沢氏)は、無礼にも大同江(テドンガン)タイル工場に、偉大な大元帥様がた(金氏一家)のモザイクイメージ作品と、現地指導史跡碑を奉る事業を妨害したのみならず、敬愛する元帥様(金正恩氏)が朝鮮人民内務軍に贈られた自筆の書簡を天然花崗岩に刻み、部隊の指揮部庁舎の前に恭しく奉ろうとした将兵たちの一致した意見を黙殺した挙句、日陰への設置を命ずる妄動を行った」

幹部たちは、史跡碑の設置をないがしろにすれば、張成沢氏のように無残に殺されかねないと恐れているのだ。そこにあるのは恐怖心だけで、金正恩氏への忠誠心など全くないことは言うまでもない。

史跡碑の設置費用は国からもらえるわけでなく、自分たちでまかなわなければならない。そのため、軍ではカネを工面できそうな兵士に休暇を与え、予算を確保する。それを逆手に取り「カネを工面してソーラーパネルを買ってくる」と口からでまかせを言って、ちゃっかり休暇を取得する兵士もいるとのことだ。

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こうして、庶民の暮らしの改善に何の役にも立たない史跡碑が、全国の津々浦々に次から次へと設置されるのだ。

朝鮮労働党第7回大会を控えた昨年の春、朝鮮中央テレビは各地の史跡碑を紹介する番組を放送している。番組は、たった2日間で史跡碑が7つも設置され、大増産運動「70日戦闘」の期間中に、全国で1600以上の史跡碑が設置され、計画を超過達成したと伝えている。