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核実験やミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮は、国際社会からの制裁により苦境にあえいでいる。一方、国境の北側にある中国の東北地方は深刻な人手不足だ。その両者が手を結び、北朝鮮労働者の大々的な派遣が行われてきた。

ところが最近、雲行きが怪しい。賃金が上がり過ぎたため、中国企業の間で、北朝鮮労働者の賃金を抑制しようとする動きが現れつつあるからだ。

その内幕を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

中国の対北朝鮮情報筋によると、北朝鮮労働者を雇用する中国企業の間で、賃金に関する情報を交換する動きが出ている。

北朝鮮当局は、中国企業に対し労働者の賃金を公開しないことを要求してきた。他の企業との交渉時に優位に立てるからだ。しかし、「労働者の賃金が高すぎる」「北朝鮮に騙されているのではないか」と感じた中国企業が、情報を交換することで、北朝鮮当局の賃上げ要求をかわそうとしているようだ。

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中国企業が北朝鮮労働者を雇うメリットは「欠勤や離職が基本的にない」「賃金が安い」という2つが最も大きい。しかし、賃金が過剰に高くなり、労働者が寝泊まりする施設の提供に加え、労働者を監視する監督者の生活費まで負担することを要求されるなどし、賃金が安いというメリットがなくなりつつあると情報筋は指摘する。

さらに、急に人手が必要になっても、北朝鮮当局の手続きに時間がかかり、半年以上待たされることも少なくないという。

別の情報筋によると、北朝鮮労働者の賃金は1日8時間勤務で1800元(約2万8000円)で、残業や休日出勤の手当まで含めて3000元(約4万7000円)を支払っている企業も少なくないという。

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2〜3年前の300元から500元(約4700円〜7900円)から比べるとかなりの上昇であり、これでは節約できるコストは2割にしかならない。

もっとも、この金額でも平均賃金よりはかなり安い。2016年の丹東市の平均賃金は3580元(約5万6000円)、図們市は3189元(約5万円)だ。(各市調べ)

一方、中国の国家統計局の統計によると、2016年の中国の都市別平均月収は北京9240元(約14万6000円)、上海8962元(約14万2000円)、深セン8315元(約13万1000円)に達している。東北地方では大連6144元(約9万7000円)、吉林省の長春では5332元(約8万4000円)だ。

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中朝国境沿いの都市は賃金が安いため、中国人労働者はより賃金の高い沿海部の都市に去っていく。労働力の穴を埋めるために、賃金の安い北朝鮮労働者を連れてきたものの、彼らの賃金も上がり、企業は立ち行かなくなる。ウィンウィンだったはずが、共倒れになりかねない状況のようだ。