17歳以上の北朝鮮国民なら全員が持ち歩いているのが、公民証と呼ばれる身分証明証だ。これの一斉切り替えが行われるとの噂が北朝鮮の一部地域で流れている。

北朝鮮は10年から15年ごとに公民証の一斉切り替えを行っており、前回は2004年に行われたが、この噂が本当ならば異例の短さでの切り替えとなる。そのため、隠された意図があるのではないかとの話も出回っているという。

このような噂が流れているのは、中朝国境に面した平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)、両江道(リャンガンド)の一部地域で、平壌など他の地域でこのような噂が流れていることは確認されていない。

新義州のデイリーNK内部情報筋によると、地元の役所の幹部の話として、「韓国の安全企画部(現国家情報院、情報機関)のスパイが偽造した公民証を持って北朝鮮に侵入した」との理由で、公民証の切り替えが行われていると伝えた。つまり、スパイに対応するというのが切り替えの理由だというのだ。

その話を聞いた新義州市民の間からは「馬鹿げている」と声が上がった。

「みんな貨幣交換のせいでとてつもなく忙しいのに、税金をかけて公民証を交換するのかという反応を見せている」(情報筋)

貨幣交換とは、2009年11月30日に発表された貨幣改革(デノミネーション)に基づき、北朝鮮ウォンを旧札から新札に交換することだ。これにより、北朝鮮国内に様々な混乱が起きていると伝えられている。

韓国に本部を置く北朝鮮向けラジオの自由北韓放送は、両江道の大紅湍(テホンダン)郡の住民の話として、当局が今年の初めから道、市、郡の保安所管内の住民の、具体的な身元の情報を新たに調査中で、作業が完了次第、新しい公民証に交換すると報じた。

市、郡の保安所の公民登録課は、住民の住所、生年月日、婚姻、特徴、特技、犯罪歴、家族または親族の行方不明者の失踪の日時など、個人情報を幅広く調査している。

これについてある脱北者は、公民証の一斉切り替えは、再登録を進めて、住民が居住地に実際に住んでいるのかを確認し、脱北者やコチェビの実態を把握するための処置である可能性が高いと話している。