「保衛省の仕事は諜報、工作、監視であり、暗殺は偵察当局の専門分野」というのが北朝鮮での常識だというのだ。より一歩踏み込んで「ベトナムの偵察総局が総指揮を執った可能性もある」とも指摘する。
外国人を使い、空港で白昼堂々、殺害におよぶ手口も「一見雑に見えるが、様々な要素をちりばめることで、誰のしわざか分からないよう目くらましをする高度な仕事だ」(韓氏)。
マレーシア警察は、北朝鮮国籍の容疑者ら3人が現在も北朝鮮大使館の中にかくまわれているとの認識を示しているが、事態は動く気配をなかなか見せない。
韓氏は今後の見通しについて「北朝鮮が事実上人質としている9人のマレーシア人と、容疑者ら3人を交換するかたちになるだろう」と語った。
(参考記事: 「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。