韓国統一省は今月3日、保衛省のトップであり金正恩氏の側近と見られていた金元弘(キム・ウォノン)氏が1月中旬までに電撃的に解任されたと明らかにした。実際、金正日総書記の生誕記念日である光明星節(2月16日)に金正恩氏が金日成・正日氏の遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を参拝した際、いつもは同行する金元弘氏の姿は見られなかった。
仮に、金元弘氏が失脚していたとしても金正男氏の暗殺が正恩氏の直々の指示だとするなら、その指示は絶対であり決行しなければならなかったのだろう。
いずれにせよ、国内では泣く子も黙る残虐部隊である保衛省が、今回の金正男殺害事件のように猛毒のVXで暗殺を試みていたとするなら、その危険度と残虐性はますます高まっていると言える。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。