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-北朝鮮が貨幤改革に失敗した後、中国に頼って突破口を模索しようとする動きを見せています。王家瑞の訪朝に続いて金桂冠が訪中した後、中国の国策銀行が主導する100億ドル規模の対北投資プロジェクトの消息が報道されています。まず、これに対する評価をお願いします。

この事件(中国の100億ドル規模の対北投資)は、朝鮮半島情勢において非常に重大な意味があると考えています。100億ドルは北朝鮮のGDPの60-70%に相当する大規模な額です。貨幤改革の後、北朝鮮が直面した危機を中国が見るに見かねて、「果敢な北朝鮮政権救済」に率先して出たと思われます。

北朝鮮を「対南・対米緩衝地域(buffer zone)」と把握している中国の対北戦略が、具体的なものになったのですね。これは今後の朝鮮半島の情勢や力学関係の、重大な変化を予告する事件と見ることができます。中国がこのように確固とした戦略の方針を立てて、北朝鮮政権の救済に乗り出したら、それはpost-金正日のシナリオにおいて、(i)北朝鮮の急変事態よりは(ii)北朝鮮内の親中政権の樹立と北朝鮮の事実上の中国隷属化という展望を高める契機になるでしょう。

さらに、中国が政府レベルの対北支援ではなく、民間銀行の投資の形を借りたのも、「外部の介入」という非難を凾黷ツつ、事実上経済的に支配して隷属させようという老練な戦略の一環ではないかと思います。要するに、中国は政治的には北朝鮮の主権と領土の保全を尊重しながら、経済や人脈など内部の要因を通じて、北朝鮮を「衛星国家」にしようとしているように思われます。過去の漢四郡のように完全に従属させるよりも、独占的な影響力の行使を通じて、事実上支配して統制するやり方です。

金正日に何かが起きた時、北朝鮮の住民の反中・民族感情を勘案して、北朝鮮内に親中的な有力人物を立てて、傀儡国家の形で、背後で統治するやり方です。北朝鮮に対する独占的な影響力の拡大を通じて、中国は朝鮮半島の周辺に対するアメリカの影響力の縮小を追求するという、一貫した戦略目標を持っています。現在米中間ではアメリカの対台湾武器販売問題や、チベットのダライラマとオバマ大統領の面談の問題をめぐる葛藤が表面化しています。

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中国の北朝鮮に対する支配力が確固としたものになれば、南北間の軍事的緊張は今までのように続いて、核や人権問題は現在のように支離滅裂な状態でmuddle throughが続く可能性が高いと思われます。北朝鮮がもし、中国の意図とは裏腹に急変事態に向かえば、中国は国連の介入を支持して要請し、安保理常任理事国の有利な地位を活用して、北朝鮮が国連メンバー国(主権国家)であることを主張して、韓国または韓米連合軍の介入を「外部勢力」と見なして、その介入を排除しようとすると予想されます。いずれにせよ、中国が大規模な対北投資を決定したことは、私たちに新たな次元の対北・統一政策及び、対中政策の樹立を要求する主要な懸案事項と見ることができるでしょう。

-2月16日は金正日の68回目の誕生日です。脳卒中や糖尿病の合併症など、健康異常説が出ているにもかかわらず、金正日は相変らず北朝鮮でリーダーシップを持ち続けています。金正日が北朝鮮体制を維持してきた一番根本的な動力は何でしょうか。また、それはまだ効力があるといえますか?

金正日は金日成が死亡した1994年以後、16年間無難に北朝鮮を統治してきた、無慈悲で利害に抜け目がなく、さとい独裁者です。彼の統治の動力は想像を超えた「無慈悲性」にあります。強圧的な統治で住民を圧制しているので、住民が効果的に抵抗することがとても難しいのです。

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無慈悲で制限ない暴力で人民の意志を根こそぎ無力化させて、支配して統治すれば良いという思考が、金正日の心中にあります。ロバート・パク氏の事例を見れば、その強圧統治の残虐性をいくらか推測することができると思います。北朝鮮の人権にあれだけ熱情的だった青年が、40日以上経って気が萎えた姿で帰還したのを見ても、想像を絶する拷問や脅迫などの非人間的措置があったと確信しています。

同時に、<主体哲学 + 社会政治的生命体論など有機体社会構成理論 + 強盛大国・先軍政治論など>精巧な理論的ドグマに基づいた対住民内面化学習も、彼の統治を支える一役を担ったと思います。けれども、11.30貨幤改革以後、状況は急変しています。金正日の権威は墜落して、住民たちも忍耐の限界に達しています。現在、世界でも類がない「世襲独裁」も動力を失っています。私たちは北朝鮮の状況を注視するべきでしょう。

-北朝鮮では貨幤改革が失敗したため、激しい民心の抵抗が見られます。あちらこちらで人民の消極的な抵抗の消息も聞こえてきます。過去とは確実に違う雰囲気ですが、金正日が全体を統治していた執権期を見て、北朝鮮体制が今どのような局面に進入していると考えますか?

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事実上、体制崩壊の初期の局面に入っていると思います。ただし、中国の「援護」が、つまり対北支援-介入政策が、その崩壊過程が続くかどうかを決める根本的な要因ですね。すなわち、中国の支援がなければ北朝鮮政権も維持できないということは明らかです。

中国の支援がなければ、北朝鮮は対南・対米戦略を和解・交渉中心に切り替えざるを得なくなり、これ以上、核開発も不可能でしょう。けれども、中国が北朝鮮に介入して支援することを戦略的な方針として確立していて、今後かなりの期間、朝鮮半島は核・人権・体制危機などが入り混じってそれなりに流れていく、muddle through(マドル・スロー)の期間が続く可能性も排除できません。

ただし、徐々に外の世界に目覚めてきている、北朝鮮の住民たちの独自の動きが注目されます。これまで、北朝鮮体制の将来と関連して様々な議論がありました。しかし、今回の11.30貨幤改革以後、北朝鮮の状況は非常に深刻になっていると思います。「今度は本当に危機」と考えられる兆候が現われています。物資が流通していないことは、体制の没落を促す要素です。

どれだけせっぱつまれば、キム・ヨンイル内閣総理が貨幤改革の失敗による混乱について謝って、(口をふさぐためにでも)再び「市場」を許容する措置を取るでしょうか。「唯一首領独裁」の権威が崩壊して久しく、今は体制を生存させる次元で臨機応変に対処しているわけですね。特に、今年2010年が、北朝鮮体制にとって非常に重要になります。強圧統治と市場秩序の間の闘争と衝突は避けられないと予想されます。

北朝鮮はもし今回の危機を乗り越えられたら、かなりの期間、それなりにサバイブ(survive)する可能性があると考えています。(続く)